
東京オートサロンというのはモーターショーとは異なり車メーカーというよりも市販車を様々に改造する中小のチューナーが集まる展示会です。カスタムカーの定義は難しいですが、大雑把に言えば市販された状態から速くする為に改造するという方向性と市販された状態よりもドレスアップするという2つの流れがあると思えばいいでしょう。
これまではその2つが併存あるいは速くするという方向性の方が正統派の扱いを受けていたと思います。実際にドレスアップ系の中小のメーカーは別のホールに隔離されていた時代もありましたしね。昭和の男性達にとっては「やっぱり車は速く走らせることが正統派である!」なんていう硬派な価値観があったのかもしれません。
ところが今回。そのドレスアップ系特にラグジュアリー系のカスタムカー業者の目立つこと。
エアロパーツで有名だった某○サイドなんかは久しぶりにオートサロンに復活したと思いきやすっかりラグジュアリーな雰囲気の展示。国産スポーツカーよりも欧米系の高額なスーパーカー(死語w)が並ぶ姿に時代の変化を感じたりしましたね。

今年の東京オートサロンを端的に表すならば「韓国メーカーとラグジュアリー系業者の年」という印象です。クムホやハンコックといいった韓国メーカーも元気でしたね。クムホタイヤはセンスが良いブースでした。なんかああいうアイデアを日本の大メーカーが全然出来ていないのは残念というかヤバいなぁという感想もった来場者も多いのでは?

おしなべて日本の大手メーカーはタイヤメーカーも含めて教科書通りエコを全面に出してました。別に間違いじゃないんだけどなんの工夫も無くアピールするものもなく平凡な展示内容。それにくらべると韓国メーカーやラグジュアリー系の業者のブースの元気なこと。その証拠に大手メーカーよりもたくさんのお客さんが常に群がっていた。
でもなんでまた今更ラグジュアリー?って疑問に思いませんか?だって、日本は若者も自動車離れが進んでいるし、今時こんなバブリーな車が素敵なんていう若い女子も少なそう。
誰が発注するんだろうか?と考えていたんですが、会場をしばらく回っているなんとなく判ってきました。そう今年のオートサロンは例年になく耳に中国語が入ってきます。そして中国語はこうしたラグジュアリー系のブースで聞こえてくることが多い。受付にも中文で中国語対応可と書いてあるブースが目立ちましたね。そりゃ今や北米を抜いて世界で一番車が売れる市場です。当然といえば当然。
残念ながら中国人の富裕層にとって日本車は日本人が期待しているほどは人気無いです。
日本車は中の上ぐらいの階層の人達が乗る物。品質やら性能に対する信頼感は高いのでしょうが金持ちが買うものではないという位置づけです。その中の上の人達も急速に国産車(中国国産)に傾斜し始めていますしね。だからこそホンダもニッサンも現地仕様の車を設計・生産し始めてローカライズを進めている。トヨタは天津以外は苦戦中かな?主戦場は完全に中国大陸に移ったのは誰にも否定出来ない事実でしょう。
でも自動車大国となった中国にとってまだ真似の出来ない、そして欧米にも無い特殊な文化が日本のカスタムカーの世界。速く走ることにはあまり興味が無さそうですが、こういうバブリーなデコレーションはもともと彼らの美意識にもマッチするので感心が高そうです。

そんな状況ですので欧米の高級車風味でドレスアップするメーカーに対しては需要があるのかもしれません。確かに元々高級な車を日本的な職人芸や品質でオリジナルに改造してくれるんだから富裕層には最高のサービスですよね。
皮肉なもので、プロセスを徹底的に洗練させて形式化してきた大企業が苦戦している一方で暗黙知の固まりのようなカスタムカーをオーダーメイドで作る中小企業が元気。
結局他人に真似ができないことが出来る会社が強いんだ。大企業に居ると常に分かりやすく誰にでも出来るように圧力がかかるのでそういう当たり前のことを忘れがちになるんですけどね。
