先日、YouTuberのヒカル氏(チャンネル登録者470万人)が「賭けスマブラ」をしていたことが本人の口などから色々出ています。
ですが、上のコレコレ氏の配信では「僕が一方的に渡す側で賞金を渡す」としています。
たしかに、eSports大会では賞金がありますが、それは賭博ではなく(一部の例外を除いて)適法です。
では、そもそも「賭博」と「賞金」の違いってなんなんでしょうか。
そして、YouTuberヒカル氏が行っている「賭けスマブラ」は違法なのでしょうか?
検討していきます。
そもそも賭博罪ってどういう罪?
そもそも賭博ってどういう罪なんでしょうか。
賭博については、刑法第185条に記載があります。
第185条(賭博)
賭博をしたものは、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
つまり、
- 賭博をしたら刑罰がある
- ただし、「一時の娯楽に供する物」であればセーフ
ということです。
では、そもそも「賭博」の意義ってなんなのでしょうか?
法律の世界では「賭博」の意義は「2人以上の者が偶然の事情にかかる勝敗によって財物の得喪を争うこと」をいうとしています。
この場合の「財物」とは、形ある有体物に限らず、サービス・役務などの財産上の利益一切を含むものとされています。
また、金額・価額の多寡は関係なく、少ない金額でも賭けること自体が犯罪となります。
ただし、「一時の娯楽に供する物」を賭けた場合はセーフとなります。
では次に、「一時の娯楽に供する物」とは何でしょうか。
この点につき、大判昭4.2.18は「関係者が即時娯楽のために消費するような物をいう」としています。
つまり、お酒とかジュースとかそういうのです。
「このジュースはじゃんけんで勝った人がもらえるな!」とかそういうのも、本来なら賭博で違法です。しかし、「一時の娯楽に供する物」に該当するので第185条但書でセーフとなります。
もちろんですが、「金銭」は「一時の娯楽に供する物」に該当しません。(この点につき同様の判示をしたのが大判大13.2.9。)
ヒカル氏がやっていた「賭けスマブラ」は違法?
では「賭けスマブラ」は違法なのでしょうか?
まず、「スマブラ」は「偶然で勝敗が決まる」のでしょうか?(偶然性該当判断)
これについて参考になる判例があります。大判大4.10.16です。
勝敗が単に技量の巧拙のみに決まらず、偶然の事情の影響を受けることがある囲碁についても、賭博罪は成立する。
以上を踏まえると、スマブラでも偶然性は肯定されます。
では違法なんじゃないのでしょうか?
私は今回のヒカル氏の場合は違うと考えます。
まず、大判大6.4.30があります。
大判大6.4.30では「当事者の一方が危険を負担せず、常に利益を取得する組織の場合、賭博罪は成立しない」としています。
先ほどのヒカル氏の発言では、「僕が一方的に渡す側で賞金を渡す」としています。
ここは「賞金と賭博の違い」にもつながるのですが、基本的に「賭博」に該当するには「賭ける」ことが必要です。
参加者が財物や財産上の利益を出し、それについて得喪を争うことが必要なわけです。
参加者から財物や財産上の利益を徴収し、それを原資にして賞金にしたりすると賭博に該当する可能性があり、賭博罪を構成してしまう可能性があります。
他方で、多くのゲーム大会ではスポンサーが賞金を支払ったり、そもそも参加料を徴収しないということが多いですので、こちらにつきましては賭博該当性が否定されるものが多いと考えます。
もちろん、名目が「賞金」でも、参加者から参加料を徴収したりして、それを原資に賞金を出すと賭博に該当する可能性は十二分にあります。名目・形式的なものではなく、実態をみて犯罪は構成されます。
つまり、今回のヒカル氏の発言が本当であるならば、「賭けスマブラ」ではなく、「賞金が出るスマブラ大会」と呼称するのがふさわしいと考えます。
したがって、今回のヒカル氏の「賭けスマブラ」は違法になることは少ないのではないかと考えます。
何か心配事がありましたら法律事務所へ相談に行ってください。
以上!



