世界一周大飛行 ~ カナダガンダ―へ ~
アメリカを出国してカナダのガンダ―へ天気が悪い事を覚悟して離陸する。
高度45000フィートに上昇すると素晴らしい景色が広がっていた。
国境を越えた。
自分がいかに小さな存在であるかを実感する。
僕は狂っているのか・・日本に向かうのに遠ざかる。
クレイジーの曲がアップルトンの休憩所で流れていた。
ニューヨークがうっすら見えて、トロントとモントリオールを見ながら大西洋が見えてきた。
北米大陸の大きさを感じて、初の単独飛行の感動のような気持になった。
空が果てしなく蒼い
予測通りガンダ―は激しい風と雪が待ち受ける。北緯60度はまだ冬である。
着陸出来なかったらどこの飛行場に向かうか上空の雲の状態を確認する。
防氷装置を全部オンにして、これから真剣勝負が始まる。アラスカの強烈な風の様だろう。
最終進入に入り、計器で台風並みの風を確認する。
機首が約25度も左を向きながら、進入限界点ギリギリで右肩越しに斜めに滑走路を視認した。
滑走路末端で右足をいっぱいに踏んで機首をセンターラインに合わせて操縦桿を左に傾ける。
腕と肩の筋肉がつるほどの操縦桿のあばれを力で抑え込んだ。
アラスカでの戦闘機の訓練がなかったら飛行機を壊していたかもしれないと思いホッとした。
日本は早朝7時、今日はチョコレート以外は口にしていなかった。
ホテルレストランのクローズギリギリで食べた、カナダの白身魚とサーモンが美味しかった。
雪が激しくなり飛行機に雪が積もる心配と明日の大西洋の天気が気になっていた。
明日は大西洋の中心を南にポルトガルの島まで飛行するが、この飛行場に引き返せないと思った。
ガンダ―に悪天が近づくのが予測され絶対に離陸して離れないとこれからの予測の天気が全てずれる。
ホテルの部屋から道路を眺めて、滑走路が朝凍り付いていない事を祈るしかなかった。
疲れているのか不思議と深い眠りについた。
bluejet