2016 プレーンズオブフェイム航空祭~チノエアポート~
航空祭前日に僕はSNJー5という飛行機でチノエアポートから南に針路をとり、サンウオーキンバレーに離着陸の訓練のため飛んでいた。管制官がいないノンタワー空港で一方送信を行うと、耳を疑うような機種が前方から接近している。B-17爆撃機だ。P-40戦闘機も視認できた。
航空祭に訪れる第二次世界大戦機ばかりが飛んできて、まさに映画プレーンズの世界だ。
Pー38ライトニング、飛行可能な機体は6機という、POFの1機だ。
イギリス軍のスピットファイヤーは操縦桿は円形、手がなくなっても腕で操縦できる。
歴史的な飛行機がずらりと並ぶ、C-47輸送機が着陸してきた。
P51Dマスタングの伝説のレッドテイルと呼ばれた部隊があった。黒人パイロット部隊である。
ベルリン空襲で連合軍爆撃機を守った英雄たちの部隊のカラーリング、アメリカで映画化もされているが、残念ながら日本ではその存在も知られていないのが残念に思える。
P51マスタングの大馬力エンジンの先につくプロペラスピンナー、この角度から、P51を見て外部点検を僕はいつも開始する。この目で乗る前に見る映像を写真で撮ってみた。
朝鮮戦争で活躍したノース・アメリカン社製F-86セイバー戦闘機
ノース・アメリカン社はP51マスタングに続き、ジェット機においても名機を創りだした。
スチィーブヒントン専用とも言っていいF-86、僕も操縦してみたいと思った。
そして共演するソ連軍戦闘機MIG-15、エアラインパイロットのスミスが操る。
日本のエアラインパイロットたちも、自動操縦の出来ない世界の飛行機に挑戦してほしい。
Pー38を先頭に右にP-51マスタング、左にF-86セイバー、後ろにアメリカ空軍F-16が飛ぶ。
素晴らしい男たちと、空飛ぶ美しいモンスターマシン、究極の紳士のスカイスポーツの世界。
見ている人に、夢と感動を与える。裏側に隠された、情熱と誇りは、アメリカという国の魂を象徴しているようだ。
世界で1機の宝物の飛行機とされる旧日本海軍機、零式艦上戦闘機52型・A6M5
オリジナル栄エンジン31型のエンジンサウンドは会場を静かにさせるほどの独特の音を響かせる。航空祭で1番の注目を集め、世界でも人々を魅了する美しい飛行に感動する。
日本人の英知の結集を、アメリカや世界は、敬意と尊敬をもって大切にしていることを日本人として嬉しく思う。
オバマ大統領が広島を訪問した。今年は真珠湾攻撃75周年イベントがアメリカで開催される。
かつての敵国同士が、いま世界平和のために固い友情を築き上げてきた。
違う思想と、違う立場、しかし同じ人間である。ひとりひとりに守るものや愛するものがいる。
日本人の僕がこの世界で1機の零戦を、アメリカの法律の元でアメリカ本土で飛ぶということを厳格にとらえて、日本人パイロットを代表してプライドをかけて挑みたい。
オバマ大統領が広島を訪問したことにより、この零戦のアメリカ人関係者の動きが変わった。
飛行のスケジュールが決定した!
「タケ、いろいろな飛行機、いろいろな地で、たくさんの素晴らしいパイロットたちと全米めぐって飛んでこい、この夏、本番だ、このZEROのマニュアルを送る」
2016年夏、飛行機を目指して28年目、操縦桿をにぎって25年目の夏
僕の一生で一番熱い夏がくる。
bluejet