与論島その2
自衛隊の浜松基地に無線で呼びかけ、周辺の飛行機情報をもらうが、どうやら僕だけらしい。
僕の飛行機のエンジン音で、下から「あっ!飛行機だ!」と指差す子供がいるのではないかと想像した。
僕は小さいころ、上空にかすかに見える飛行機をよく見ていた。
この静かな連続したエンジン音とプロペラが空気をかく音を少しでも聞いていたいと少し速度を下げてみた。
友人は今頃ちょうど僕とすれ違い成田空港に向かってる空の上だろう。
名古屋の管制と連絡を取り、許可をもらい名古屋市内に高度を下げて向かった。
ブルージェット本社のアルペンタワーが見えた。
上から見ると屋上ヘリポートは本当に小さい。
誰も僕には気づかないと思う。
みんなに言ってないから。
名古屋でブルージェットをスタートさせて2年半くらいのことを考えながら、何度もテレビ塔や本社やマリオットホテルの上を旋回していたら、気づいた。
「やばい、17時までに給油しないと追加料金だ・・・」
最後に1週本社を旋回して、名古屋城を横目に着陸体制にする。
着陸したら、燃料屋さんが待っていて
「追加料金ですよー」
ブルージェットの名古屋事務所に常駐するパイロットで僕の教官をしてくれた人が迎えにきてくれた。
「おまえなにやってるんだ、楽しそうだなあ」
「お前21時離陸じゃ西日本天気悪くなるぞ、休んどけ」
携帯に大連帰りの友人からメールが入る。
「名古屋駅到着20時35分タクシーで向かいます!」
離陸を21時10分でフライトプランを入れた。
今日の夜間飛行は月が新月に近いので空が暗い。
雨雲レーダーから天気の悪さがを予測する。
「きたよー」 「お疲れです」「髪型変わった?」「そうそう、大連で切ったよ。大連カット!」
「どうでもいいけど、トイレ行ってすぐ行くよ」「天気が悪いよ」「与論島で泳げるかなあ、水着持ってきたよ」
正直、強行日程なので僕は水着をもっていなかった。
彼は本気で泳ぐつもりだが時間的に厳しい・・・・・・・。
彼の本気の笑顔見て、僕も水着買って泳ぐ覚悟になった。
久しぶりに面白い友人が出来た。
つづく
bluejet