ずっと積読本だったんだけど、すごく面白かったので、もっと早く読めば良かったです。
悪名高い若き実業家ヴィッキー・ラーイがパーティの席で射殺された。ヴィッキー・ラーイは、過去に何度も事件を起こしながら、大物政治家である父親の権力と金の力で罪を逃れてきたという男でした。そして、パーティ会場に居合わせた6人(人気女優、大物政治家、元高級官僚、泥棒、部族民、アメリカ人旅行者)が容疑者として挙げられる・・・という物語の幕開けで、その後、殺人現場のパーティに出席するに至るまでの容疑者それぞれの半生が交互に描かれる。・・・といったストーリーです。
6人の容疑者の物語がそれぞれほぼ独立した形で進んでいくので、連作短編集のような構成になっています。容疑者それぞれの境遇も地位も全く違うので、いろんな側面からインドという国が描かれることで、インド社会が抱える様々な問題が浮き彫りになっていく・・・という構成が素晴らしかったです。
読んでいて頬がゆるんでしまうユーモアのあるエピソードもあり、胸が痛くなるような残酷なエピソードも描かれていました。
ジャンルとしては「社会派ミステリー」に分類されると思うんだけど、それだけにとどまらず、コメディ、ドタバタ、成長物語、ラブストーリー、冒険物語といった要素も盛り込まれ、極上エンターテイメントに仕上げられています。
同著者の前作「ぼくと1ルピーの神様」(映画「スラムドッグ$ミリオネア」の原作です)も評判が良さそうなので、そのうち読んでみようと思います。