久しぶりに、ミステリー界の巨匠ドン・ウィンズロウ様の代表作「犬の力」を再読しました。
ラテンアメリカを中心に1975年~2004年までの約30年間にも
及んだ麻薬戦争を描いた小説です。
麻薬ルートを根絶しようと執念を燃やす麻薬捜査官のアートVSメキシコの
麻薬カルテルの親玉バレーラ兄弟の因縁の闘いに、
高級娼婦のノーラ、司教のパラーダ、殺し屋のカランが巻き込まれ、
さらに米国政府、CIA、マフィア、教会の思惑や陰謀も絡んでいて、
壮大なスケールの物語となっています。
フィクションなんだけど、史実を交えているのでリアリティがあり、
また著者ウィンズロウの作品に共通する上品さが随所に表れていて、
凄惨なシーンやバイオレンスの場面が満載でありながら、
苦になく読み進めることができました。
またウィンズロウの持ち味である人物描写が素晴らしく、たとえ
悪役であっても魅力的で憎み切れないキャラクターとして描かれて
いるので、それぞれの登場人物に共感することができ、
物語の世界にどっぷり浸ることができました。
エンターテイメントとしても素晴らしい作品です。
上下巻でトータル1000頁を超える大作ですが、何度も再読して
いるので表紙がもうボロボロで、読み返す度に新発見があるので
付箋の数がすごいことになってしまいました。