あちこちのSNSで評判がよかったので、読んでみました。
高校生のピップは、自分の住む町で5年前に起きた少女失踪事件の究明を、自由研究のテーマに選ぶことにした。その事件の犯人と思われていた少年と親しかったピップは、彼の無罪を証明すべく、自由研究を口実に、事件の関係者にインタビューしていく・・・というストーリーです。
序盤は、ティーンの登場人物たちに感情移入できず、物語もなかなか進展しないので、退屈に感じましたが、終盤にあるきっかけで物語が一気に動き出してからは、面白くて止まりませんでした。
退屈に思えた中盤までにもちゃんと伏線が張られ、ミスリードも仕掛けられていて、ミステリーとして、よくプロットが練られていると思いました。
ただ、すごく面白かったかというと、そうとは言えません。
事件の真相や真犯人については、特に意外性がありませんでした。
それから、全体をとおして既視感を感じました。登場人物たちのキャラクターはステレオタイプだし、サイドストーリーやエピソードに関しても、その辺によく転がっているネタが多いように感じました。
自由研究をテーマにした点と、SNSやアプリを駆使した点は、本作の「売り」だと言えますが、これらの点についても特筆すべき斬新さがあるようには思えませんでした。
・・・辛口の評価になってしまいましたが、最後まで読み終わりたいと思えるほどには、面白かったんですよ。
たぶん、ミステリーにハマり始めた10代~20代ぐらいのときに読んでいたら、すごく楽しめたと思います。
私も年を取ったということかな。
また、本作に限らず、ここ最近の翻訳小説で気になるのが、「平仮名がやたら多い」ことです。
例えば、「○○がなにをしでかすかわからず」とか、「すべてがむだだったわけではなかったかもしれない」etc.
とにかく読みづらいので、もし出版関係の方がこのブログを見ていたら、最近のこの平仮名を羅列する風潮というか傾向を改善して頂きたいです。