今日は、思い出の本を。


”宮沢賢治童話集”

宮沢賢治 作 司修 挿絵

宮沢清六・堀尾青史 編

実業之日本社 1969年初版


幼少期、さまざまな本で大きな影響を受けた司修さんの挿絵。中でもこの本は“どんぐりとやまねこ”のカバーがお気に入りの一冊。


“おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。


かねた一郎さま 九月十九日

あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。


あした、めんどなさいばんしますから、

おいでんなさい。とびどぐもたないでくなさい。


やまねこ 拝”

 

いま読み返しても、“どんぐり〜”の、なんとも言えない可愛らしさやユーモラスな不思議さに、思わず笑ってしまう。


弟の清六さんが選んだ収録作は、どれもみな素晴らしく、心のこもった前書きにはじんとくる。


賢治の精神性や独特な世界観は現代的で普遍的。


動物も植物も空も山も人間も、すべて等しく分け隔てはない🥀


社会に適合しづらかったり、自分の居場所に居心地の悪さを感じてる人間に、あたたかく、優しい力を与えてくれる物語の数々。


こどもの頃にははっきりとわからなかった、物語のいわんとしていることが


歳をとってからようやくわかってくることがあって、いまさらながらに賢治は凄いなぁ、と思う。


どれもみな100年ほど昔の作品だが、やっと今、時代が賢治に追いついてきたような気がしてならない。


良い物語には、ずっと変わらない素敵なメロディが流れている。


オシマイ。