先生は迷惑そうに庭の方を向いた。

その先に、この間まで重そうな赤い色をぽたぽた点じていた椿の花は もう一つも見えなかった。


先生は座敷からこの椿の花をよく眺める癖があった。



「信用しないって、特にあなたを信用しないんじゃない。
人間全体を信用しないんです。」“

夏目漱石 「こころ」P.38から
新潮文庫 1992年118刷


ひとのこころは  

100年経っても たいして変わらない


おしまい。