今日は、いままでも何回かご紹介してきた本を。
アンダーグラウンド
村上春樹
講談社文庫
今日で地下鉄サリン事件から28年だそうです。
28年も経つと、メディア報道も本当に少なくなってしまったなぁと思います。
もうちょっと報道してくれてもいいのでは?
と残念な気持ちも。
6000人以上の被害者を出し、14人もの方が亡くなられた。
いまだに後遺症に悩んでいる方もたくさんいらっしゃる大事件だったのですが・・・
・・・
昨年、宗教と政治の関わりが大問題になったとき、真っ先に思ったのは
宗教法人認可したあとに、その宗教団体が反社会的に変質し、暴走し始めたとき、それをチェックする機能がなくて大丈夫なの?
ということでしたが
よく調べたら、ないことはない、ある。
しかもオウム真理教によるさまざまな事件がきっかけで作られたものが。
でも、形式的なものがあっただけで、なんと、その機能を昨年までの27年間もの間、一度も行使したことがなかったことを知りました。
一体何のために作ったんでしょう?
そして、もっとおかしなことには、28年も経つのにこの大事件の検証や総括を国として全くしてこなかったことです。(村上春樹さんも、この本の中で、ここをかなり問題視しています。)
個人や組織の責任問題になりそうだから、したくないんでしょうか。
どんな理由にせよ、すごく残念な話です。
・・・
世田谷に住んでいますが、世田谷にはオウム真理教の後継宗教の道場があり、いまだに反対活動応援のチラシが来ます。
オウム対策住民協議会ニュース
令和3年7月26日発行
から
このチラシによると、後継宗教の拠点は全国に31ヵ所あるそうです。
・・・
“アンダーグラウンド”を読むと、いまだサリン事件の根っこの問題は解決してないことが良くわかります。
大きな事件が起きても検証や総括をしないこと。
形式だけ整えるだけで本質的には何も変えようとしないこと。
これらは、何度も同じような失敗を繰り返し続けている日本の、社会的仕組みの欠陥をあらわしているように思えてなりません。
日本のこれまでの新型コロナ対応についての検証も、今後同じ道を辿っていくような気がします。
若い世代の方々は、サリン事件を全く知らない方も多いと思いますが
これから同じような悲劇が起きないためにも、この事件について、もっともっと多くの人が認識を深め、関心を持ち続けた方がいいのではないかと思っています。
忘れた先に災厄が繰り返さないように。
よろしければぜひどうぞ。