いつも訪問いただきありがとうございます。
今日は昨日の続きで、大好きな昔の広告をご紹介します。(1987年広告美術年鑑より)




「悲しい風景を見るとお腹がすくんだ」
1987年キューピーマヨネーズアメリカンの広告。写真も素敵なんだけど、上のコピーと下の私小説みたいなストーリーがとっても味わい深いのです。
一年前に恋人と来た場所にひとりでやってきた女性。サンドイッチを食べながら、恋人への思いを断ち切るのです。
ここで細かい説明はしないけど、是非読んでみてくださいね。

学生のころ、秋山晶さんのキューピーマヨネーズの広告が大好きでした。
アメリカの風景やダイナーなどを舞台にした、ちょっと儚くて、ちょっと寂しい感じのショートストーリーが魅力的でした。内容的にはちょっと澄ました感じもするんだけど、味わい深くてホロっとするところもあったりして。

社会人になってから、失恋して感傷的になってたころ、この広告のことが頭をよぎったことがあります。でも、多分それはこの広告がしっかりと読み手である消費者の心の中に入り混んでいたからだと思うのです。

で、思うわけです。果たして現代の広告にこういう感じのものってあるだろうか???と。

ちなみにこっちの広告は、最後の一行がとっても、とっても良いのです・・

いまも、新聞や雑誌や、いたるところで、秋山晶さんチックなエッセイなんかを見かけることがあります。でもね、ストーリーの醸し出す雰囲気の濃密さ加減がまるで違うのですよ。

この広告のミニストーリーは、意図的にしているのかどうかわからないんだけど、改行などは一切されないで、文章がずっと続いていくのです。理解力の悪いわたしは、何度も読み返しながら、ようやく、ああ、こういうことね。とうなづきながら読んでいました。
でも、そのおかげなのか、30年経っても内容を大体覚えているのです。

現代の広告は広告で、良いところもたくさんあるとは思うのだけど、わたしは秋山さんの作品みたいな、心の中に入り混んでくる広告をもう一度見てみたいと思うのです。

心の中に何かを残す広告はいつの時代にも古びません。
ブルーグリーンブックスへぜひどうぞ