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今日はお気に入りの80年代マンガをご紹介します。


「いつもポケットにショパン」
くらもちふさこ作 1981年初版
マーガレットコミックス


音楽をテーマにした映画やマンガが好きです。例えば映画だったら「シャイン」、マンガだったら「のだめカンタービレ」とか。 
 
天才の耳が聴こえなくなったり、目が見えなくなったりして苦悩葛藤したり、でも最後には成功したり。そんな自分には到底ありそうもない、振幅の激しいドラマチックなモチーフに感動するのかもしれません。

自分の家には姉が買ってもらったオルガンがありましたけど、姉も私もきちんと習うことはなく、なんとなく流行りの歌を適当に弾いて遊んでましたね。ポロンポロンと。でも、下手くそでも、弾きながら歌うと楽しくて。音楽っていいなぁ。と思ったものです。

この作品はわたしが中学3年から高校1年にかけてマーガレットに連載された作品です。

このマンガ、とにかく大好きでした。ストーリー展開とか全体の雰囲気が。
最近も読み直したのですが、涙腺が緩んで仕方なかった。笑 最初読んだときもかなり緩んだけれど。

小学生の麻子と季晋は、遊ぶときもピアノの練習もいつも一緒の仲良し。ある日聞いた季晋のショパンのワルツに感動する麻子。

でも、麻子の母親愛子と季晋の母親華子は、かつてはピアノコンクールで何度も争った好敵手でした。 麻子は現役ピアニストの愛子からいつも厳しくしつけられ、くじけそうになりますが、華子が優しく接してくれることでなんとか心のバランスを保ちます。

しばらくして季晋は華子とドイツ留学に向かいますが、その後、列車事故で華子が死に、季晋は失明したことを新聞報道で知ります。
落ち込む麻子。

ピアノを続けて音楽高校に入った麻子は、ある日、季晋が実は生きており、ピアノの名手に成長していることを知ります。
季晋と再会する麻子。でも、麻子の前に現れた季晋は昔と打って変ってとても冷たかったのです・・

死んだはずの父親をめぐって、愛子と華子の争いがあったとか、華子のせいで愛子はピアノが弾けなくなったとか、愛子の網膜をもらって季晋の目は失明しないで済んだとか、まぁ、いろんな秘密が徐々に明らかになっていきます。

麻子は昔の仲よかった頃に戻りたいのだけど、季晋は、愛子の復讐のためにコンクールで麻子に勝つことを目標にしていることを知る麻子。季晋の腕は怪我をしており、いつまでもつかわからない・・
ふたりの運命はいかに・・

と、まぁこんな感じの、ドラマチックな音楽恋愛マンガなんですが、このマンガのひとつの魅力はですね、絵から音楽が聴こえてくるところなのです。








くらもちさん自身がピアノをやってたことが大きいと思うんだけど、ほんとにね、カットの絵から、聴こえてくるのですよ。音楽が。

それとすごく素敵だな、と思うところは、麻子が季晋をピュアに想う気持ちが、とにかくけなげで愛らしいところ。
麻子はすごい美人じゃないし、感情の起伏も激しいんだけど、子供の頃の仲良かった関係に戻りたいと切なく思うところがですね、読んでる人の心を、こうグッと掴むのです。
季晋は今で言うところのツンデレ系男子の元祖みたいなキャラに描かれているのだけど、ツンデレ系とチョイダサ系の2人のやりとりがすごく良いのです。「麻子頑張れ」と励ましながら読んだことを思い出します。

でも、このマンガの最大の魅力は、誰もに小さかったこどもの頃を思い出させてくれるマンガであること。
みんな小さかったころって、男の子だとか女の子だとか関係なく、コロコロ無邪気にじゃれたりしながら遊んでませんでした?
当然、まだ本格的は恋愛感情なんかも芽生えていないころ。
このマンガは、そんな優しい匂いのする温かいころを思い出させてくれるマンガなのです。

良いマンガは何度読んでも、時間が経っても面白い。
ご興味のある方は一度読んでみてください。