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今日は外国ビンテージ絵本のご紹介をします


HENRI'S WALK TO PARIS
文 レオノール・クライン
絵 ソール・バス
ヤングスコットブックス 1962年初版

天才グラフィックデザイナーのソール・バスが唯一残したこの絵本、いまでは伝説的な絵本になってしまいました。いま読み返してみると、幼児よりも大人が読むとより魅力的な絵本のような気がします。最近では松浦弥太郎さんが訳した本もあります。

ソール・バスは1920年生まれのアメリカ人。
絵本というよりは、映画のタイトルバックや有名企業のCIデザインで有名です。
タイトルバックというのは、あの映画の出だしのキャストなどが音楽とともに流れる部分ですね。
わたしが好きな彼のタイトルバックは、ヒッチコックの「めまい」「北北西に進路を取れ」「サイコ」など。ご興味のある方は是非動画で見てください。映像と音楽の絡まり具合が素晴らしい作品の数々です。

この絵本はパリの近くの町、リブールに住むアンリ君が主人公。

この緑に囲まれた家が素晴らしい。ちょっと写真が下手で申し訳ないのですが、実物はもっと素晴らしい色彩です。字の置き方にもリズムがあって、ステキです。


パリについていろいろ情報収集するアンリ君。パリについての情報が一面に書いてありますよ。読んでみると楽しいです。

あー、この色綺麗だなぁ。

パリに憧れるアンリ君は、ついにある日、紙と鉛筆とサンドイッチの材料を持ってパリに向けて旅立つのです。 紙と鉛筆は友達にあげるパリスケッチを描くために。

この絵本の中で特に素晴らしいのは、青と緑。なにしろブルーグリーンブックスなもので。笑

ほかに特徴的なのは、人物の顔が描かれず、足だけしか出てこないところ。足しかないんだけど、それでほかの部分をイメージさせちゃうところが面白い。


木立の中でひと休みしてるうちに、小鳥がちょっとしたことをしちゃうのですが、この小鳥もかわいい

このちょっとしたことでアンリ君はパリに行けなくなってしまい、リブールに戻ることになってしまいます。自分では知らないうちに・・


結果的に家に戻ってしまったアンリ君

足だけしか描かれていないのに、パパとママの優しさが伝わってきます。このページ大好きです。

50年以上昔の絵本なんですが、無駄なところを削ぎ落とした絵、鮮やか色彩、踊るような文章が素晴らしい。
また、シンプルなストーリーの中にも、実はとっても深いものが流れています。

本物は時間が経っても古びません。普遍的な美しさは素晴らしい。
ブルーグリーンブックスへぜひどうぞ。