どうも! 青羽シナリオラボの上坂 涼です!
前回はキャラ作りについて自分なりのやり方をご紹介しました!
で、今回は世界観作りについてですね。ひたすら自論を並べようかと思います。
僕は世界観ってキャラクター以上に手を抜いてはいけない設定だと思うんですよ。
というのも世界観って『世界』って付くぐらいですから、単純に考えてみればそりゃあ大層なものなわけです。
言い換えれば世の中のルールと歴史を決めるということ。そう考えるとやばくないですか。やばいと思ってください。
で。そんな大層なものを雑に作ってしまうと、たとえば次のようなことになります。
1.人によって、言ってることが変わってしまう
2.人々の抱く感情や過去が薄っぺらくなってしまう
3.逃れようのない矛盾にぶつかってしまい、選択肢が狭まってしまう
1番から順番に説明しましょう。簡潔に!
『人によって、言ってることが変わってしまう』
これどういうことかと言うと、たとえば世界は魔王に支配されたという設定だけがあったとしましょう。
どんな魔王が、どのような被害を出して、どれだけの敵を打ち倒して、どの世界を支配したのかを明確にしておかなければ、人々の言動がブレが生じてしまう危険性があるんですよ。
「奴は残酷なやつじゃあぁぁ!」「奴は冷酷で多くの人間を殺した」「奴は狡猾で薄汚い」「奴は圧倒的な力を持って、人をねじ伏せた」
ああ、とにかくひどいやつで強い奴なんだなとは伝わりますが⋯⋯結局どんなやつなん? なにをしたん? ってことになります。
とりあえず強そう、怖そう、悪そうってニュアンスで書いちゃったら、もう全部じゃん。もうなんでもありじゃん。もはや個性という名の無個性じゃん。
と、いうことになります。
次行きます!
『人々の抱く感情や過去が薄っぺらくなってしまう』
これほんと大事です。世界観を作るのはこれを回避するためと言っても過言ではないです。
聞いたことないですか? 「歴史が人を形作る」と。
戦争、和解、停戦。部落の分裂、新しい国の誕生、大国の滅亡。勇者による世界救済。魔王による世界征服。世界を脅かす流行病や大災害。それらの事件の最中で巻き起こる重要人物達の活躍。
そしてそれらは確かに、人々の生活や心に多大なる影響を与え、価値観の礎となっているはずです。
種族間の確執、災害により草木が育たなくなった土地、戦争により滅亡寸前の小国、勇者の住まう国、魔王が逃げ延びた地下世界、悪神が封印された祠などなど。
これから描く物語の土台となる「これまでの物語」を歴史としてちゃんと描いておかなければ、登場人物の喜怒哀楽がどうにも偽物っぽく感じられてしまうのです。
最後ですね。
『逃れようのない矛盾にぶつかってしまい、選択肢が狭まってしまう』
これも最初にある程度設定を練っておかないと起こりうる問題です。
たとえば、主人公が物語の中盤で「俺に親はいない」と述べたとしましょう。しかも親がいないことによるトラウマについて深く描いてしまった。それによりヒロインやライバルとも絆が生まれてしまう。
しかし物語の後半で、どうしても主人公に親的存在がいないとマズイ展開になってしまった。
親的存在を登場させることが出来なければ、バットエンドにするしかない。しかしここまでハッピーエンドを目標に描いていたせいで、ストーリーはお気楽な展開が続き、こちら側が不利になるような展開はあまり起きていない。
そんな状況で急にバッドエンドの展開になるというのは、急展開すぎて草が生えてしまいます。
もうこうなると取る手段は限られてきます。
- 物語中盤の「俺に親はいない」発言から付随する、友情や恋愛イベントの一斉削除。
- 物語の冒頭から終盤にかけて、主人公が知らないだけで実は親がいたという伏線やシーンを散りばめる。
- そのまま素直にバッドエンドへ。
- ただ単純に設定後付けにして、急に親を登場させる。
要するに設定を中途半端なままに書き出してしまうと、後ほど辻褄合わせをする必要があるんですね。
文章量の多い小説といったジャンルだと、作品中で世界観やキャラクター背景を説明する箇所がおのずと増えるので、もう本当に修正が大変になります。
人によってはこの修正に心が折れて、未完成のまま投げ出してしまう方もいるんじゃないでしょうか。
そしてなんとか辻褄合わせをしたとしても、よほど入念に時間をかけて修正しなければ、つぎはぎだらけのものになります。
そうなると⋯⋯やはり読み手が受ける印象は後出しの設定だなというものでしょう。
今回はこれくらいにしようかと思います!
次回も世界観設定について、自分なりの考えをお話ししようかと思います。
それではー。