『独占密着!ドキュメンタリー羽生結弦 RE_PRAY』

 

 昨日の地上波放送をたくさんの方が見てくださったことは

 彼のスケートを見てもらえたというだけでも限りない喜びであり同時に

 ひたむきに頑張る羽生選手の真実が明かされるための重要なステップとなった

 それは報道の在り方についても本質的な問いかけをしてくれたと思う

 

 プロ転向以降競技時代よりもさらに自分に厳しく鍛え磨いてきた表現と

 スポーツのスキルその事実を映像で届けてくれた

 真実を報じるそれが報道の公益性の基本の基である

 特に共感する部分を引用したい。
  🔶MIKIKO先生とのコラボがスペシャルであった理由
  🔶単独公演だったからこそ実現できたスピンプロの凄さ
  🔶選曲の前にコンセプトがあった演出家羽生の醍醐味など
   🔶今も高難度のジャンプが跳べているアスリートとしての凄さ
 
  フモフモコラムより
 
自分以上の要求をする誰かと一緒に何かを作れる充実した時間
オープニング&「いつか終わる夢」の演目を紹介したのち、番組はせり上がりのサブステージでの演出を煮詰める場面を映します。そしてこのサブステージを使った演目である「鶏と蛇と豚」を、演出振付家のMIKIKO先生と作り上げる過程が明かされていきます。

「鶏と蛇と豚」←真っすぐ(陸ダンスから氷上ダンスへ)
MIKIKO先生は「私がゲームを知らない人代表としてわかるもの」「ゲームなんだけど芸術×ゲームみたいなもの」を作りたいと語り、つなぎの部分にはコンテンポラリーの印象なども取り入れていくと語ります。
そして、MIKIKO先生は「鶏と蛇と豚」の振り付け(主に上半身)も担当しているとのことで、スタジオでの振付練習の場面も番組では映し出されました。MIKIKO先生が主に上半身を作り、そこに羽生氏が主に下半身によるスケーティングを融合させていくという斬新な作り方
まさにクリエイティブ×クリエイティブのコラボレーションではありませんか。なるほど、これならばスケート界隈の振り付けでは生まれない斬新さも生まれるというもの。

アイスリンク仙台にてスケーティングを検討しているくだりでは、MIKIKO先生から「これって一直線上だと勢い出ないんですかね?」という提案があり、それを受けた羽生氏が「やってみます」と即応する場面も。
羽生氏自身もこの演目に対してスケートではあまり見られない「真っ直ぐ」というものを根底のテーマとして据えていた模様ですが、ふたりのクリエイターの共鳴する思いと、演出家の要求によって「もっと、もっと」と水準を上げていくような制作工程が垣間見えて、とても印象的でした。
羽生氏も自分以上の要求をする誰かと一緒に何かを作れるのは、とても充実した時間だったのではないかと思います。あの斬新な「ほぼ一直線上」の演技はこうして生まれていたんですね…!
 
MEGALOVANIAスピン
そして番組は「RE_PRAY」最大の話題作とも言える「MEGALOVANIA」に話が進んでいくのですが、ここで驚きの発表が。実際には「ジャンプなしでも見せ切れるプログラムを作りたい」という想いがあり、スピンだけで魅せるプログラムをやりたい⇒じゃあMEGALOVANIAだ、という順番でつながっていったようなのです。なるほど、「鶏と蛇と豚」もスケートには通常ない「真っ直ぐ」というコンセプトがあって生まれた演目であり、「MEGALOVANIA」もスピンで魅せるというコンセプトがまずあったわけですね。

 

見る側としては別にどちらが先でもいい話ではありますが、この着想の流れには「ひとつの公演」というものを見据えた総監督としての羽生氏の視線を感じます。同じようなものがつづくのではなく、ガラリと変わっていくものを、より個性が際立つものを求めることで、公演自体にも広がりが生まれていきます。通常であれば、ひとつのショーでひとりが演じるのは1演目とか2演目ですので、やはり幕の内弁当的な「全部入り演目」にならざるを得ませんが、ひとりで1公演を演じ切る羽生氏ならば「あえてスピンだけ」といった取り組みもできるのです。そして、それがコース料理のように連なってアイスストーリーとなるのです。何と豪華であることか。

さらに「MEGALOVANIA」演技冒頭の無音でエッジを打ち鳴らす部分についても解説がされていきます。この演出は、かねがねスケートの生々しさを伝えるべく「エッジの音の迫力みたいなものを感じてもらいたい」と思っていたことと、ゲーム内でこの曲が流れる戦闘で敵ボスが「無音で必殺技を繰り出す」こととが結びついて生まれた演出なのだとか。これも「サンズ戦を再現」がスタートなのではなく、スケートの生々しさを表現⇒じゃあサンズ戦だという流れなのが、あくまでも羽生氏が「プロフィギュアスケーター」であることが際立っているなと思いました。ゲームありきではなく、スケートで表現したいものがあって、ゲームと結びついているんだな、と。
目を閉じて練習
 
そして番組は公演第1部のクライマックスである、6分間練習から始まる競技会相当の演目「破滅への使者」の話に。広い会場を用いることで距離感がつかみにくくなり、照明を暗くした演出によってリンクの端が見えなくなり、その結果「視覚を制限されている」かのように演技(とりわけジャンプなど)が難しくなっていることから、スタッフさんと協議を重ねる場面が映し出されます。そして、ここでまたしても簡単に言っちゃう系の展開なのですが、照明を明るくするとかフェンスを立てるとかの具体的な解決策ではなく、「羽生氏が慣れる」でこの問題を解決することに。何と羽生氏はそのために「目を閉じて練習する」こともあったのだとか。

 

 

 

 

モモ博士さんのお写真より