昨年7月19日のプロ転向決意表明会見から半年が過ぎた
今やあの転換点が彼のスケート人生の貴重な
ターニングポイントになったことは明らかだ
あのとき私は考えた
これまで競技者羽生結弦を追ってきたメディアは
プロアスリート羽生結弦にどう向き合うのだろうかと。
その後のメディアの動向は承知の通りだ。
そんな中、プロ羽生結弦の新たな物語を追い続けるのが
ラーター松原孝臣記者である。
その記事に魅かれる理由の一つは
技術と表現の両方の視点を大切にしているところだ
🔶音響デザイナー矢野桂一氏を取材
プロローグを振り返る連載記事のポイントは松原記者が
音響デザイナー矢野桂一氏を取材したことだ
矢野氏は羽生選手のプログラムと音楽を巡る物語の
共演者みたいな存在なのだから
Number web
[羽生選手の演技には絶対的なものがある]
この記事には
世界中のジャッジの皆さんに知ってほしい内容が凝縮されている
矢野さんを始め一流のアーティストたちは
羽生選手の音楽性がどれほど素晴らしいか知り尽くしているが
その事実と競技での採点には乖離があったからだ
時すでに遅しだが気づいてほしい。
「音楽の解釈」を巡る信じがたい現象の数々は
フィギュアスケートの歴史の汚点である
最も醜いのがシリアスエラーだった。
ジャンプの結果で音楽の解釈の評価を決めることの矛盾に
何故気づかないのか
北京の「天と地と」の音楽性の素晴らしさは
複数のTV番組で高く評価されたが一部ジャッジの判定は
機械的な計算によるものであれならロボットでもできるだろう
PCS はプログラム全体の評価なのだ
音響デザイナー矢野桂一氏が語る「プロローグ秘話」より
羽生にとって すべての作品は「大事な子たち」
矢野「公演を終えてみて、いちばん感じたことは、彼は自分の過去のプログラムに対してものすごく思い入れがある、1つ1つを大事にしているんだな、ということですね。全部が彼自身の作品と言いますか、作品は大事な子たちであって、ほんとうに1つ1つ思い入れがあって今まで滑っていたんだな、という印象をショーの中で強く受けました」
忘れられない光景(いつか終わる夢)
矢野氏が話したのは、初めて披露されたプログラム『いつか終わる夢』でのことだ。このプログラムは演出振付家のMIKIKO氏が演出を担い、プロジェクションマッピングが用いられた。
矢野「演技のとき、プロジェクションマッピングでリンクに映像が動いていきますよね。最初はその上を滑っていたんですけれど、公演が進む中でMIKIKOさんに、『前半は映像よりも先に滑る、前を行く形にして、後半は「何か」を追いかける形にしたい』と話をして、修正をしていました」
プロジェクションマッピングにとどまらず、「そういう若干の修正作業はかなりやっていました」と付け加える。音だけではなく、細部をどこまでもおろそかにせず、磨いていく姿がそこにあった。
羽生の演技には「絶対的なものがある」と語る理由
音響として携わり、数々の編曲も手がけてきた矢野氏とフィギュアスケートとのつきあいは長い。数多くの大会やアイスショーに触れ、多くのスケーターの演技を目にしてきた時間を踏まえ、羽生についてこう語る
矢野「三十何年という時間、フィギュアスケートの演技をずっと見てきた中で、思っていたことがあります。自分のプログラムなんだから、音楽の物語を作るというか、自分のストーリー性を持って、(選手たちは)もっと音楽に対する意識を持ってほしいとずっと思っていました。やっぱり音楽と違う振り付けがついていたりすると、心地よくなかったり、ジャンプが崩れたあと、ずれたままのこともありますから。
でも彼(羽生選手)は全然それがなくて、ほんとうに『その音まで捉える』、というくらいの振り付けなのですね。彼のプログラムは音とのシンクロを図るというか、音に合わせた振り付けであるべきだという絶対的なものがあります。僕ら音響も、滑っている選手とお客さんに同時間で音が届くようにいつも取り組んでいます。ずれて届いてしまうと、フィギュアスケートのよさが出ないので。演技も、肝になる音や一瞬の間に動作がぴたりとはまっていれば、見ていてやっぱり気持ちいいと思います。だから彼の演技は見ていて気持ちがいいんですね。そういうスケーターはなかなかいなかったですし、すごいなと思います」
最後に書かれているように矢野さんは2月26日東京Dでの単独アイスストーリーGIFTにも音響のスタッフとして重要な仕事に関わってくださるそうだ。感謝の一言に尽きる
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