国生み~大国の存在の記紀総括43-穢れと禊2- | 記紀以前の日本史を探す

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古事記や日本書紀、俗に偽書とされる歴史書、古代アジア各国の歴史書などから古代(紀元前1000年頃~)日本列島の真実の歴史を考えて行くブログです。

□伊那志許米志許米岐

 

「是以伊邪那伎大神詔 吾者到於伊那志許米上志許米岐
 【此九字以音】穢國而在祁理【此二字以音】
 故吾者爲御身之禊而 到坐竺紫日向之橘小門之阿波岐
 【此三字以音】原而 禊祓也」

 

(是を以って伊邪那伎大神詔(みことのり)す

 

 吾者(は:短語)
 伊那志許米志許米岐(いなしこめしこめき)に

 到るに於いて國の穢れ而(に)(きり)在り

 

 故 吾者(は:短語)御身の禊(みそぎ)の為而(に)

 竺紫日向之橘小門之阿波岐(あはき)原而(に)到りて
 坐り穢れを禊(みそぎ)する也)

 

上記の文が古事記の穢れの場面の冒頭にあり、

「伊那志許米志許米岐」の解釈を考えます。

 

呉音:いなしこまいしこまいぎ(表外)

 

漢音:いだ(表外)しきょべいき

 

万葉仮名を含めると「いなしこめしこめき」と読めますが、

古事記では「音読み指定」がある為、「米」を「め」とするのは間違いで、

「いなしこまいしこまいぎ」の音読みに近い発音になると思われます。

 

「いな」:黄泉國での「火山雷」の遭遇から「稲妻」と考えます。

 

「しこまい」:

 

「しこめ」ではなく音読み(呉音)では「しこまい」となり、

「醜女」と考える事は出来なくなります。

 

調べて行くと、参照のサイトに下記の一文がありました。

 

「志許は 、元気のある、武勇に優れた、

 或は神威嚇(しんいかく)たる神という意味であります。」

 

「武勇に優れた」などは後世に関連付けられたのだと思いますが、

「元気のある」が本来の意味ではないかと思います。

 

この事により「志許(しこ)」は「元気のある」、

「米(まい)」は「米」で「元気のある米」と考える事が出来ます。

 

「雷が稲を育てる」と言う思想から、

「いな」が「稲妻」、「しこまい」が「元気のある米」となり、

思想と九文字の単語は一致している事になります。

 

参照:御形神社について
http://www.mikatajinja.com/mikatajinja.htm

 

「き」:「阿波岐」から「岐」は地名になのかも知れません。

 

上記の様に考えた場合、「到るに於いて」ともあり

「伊那志許米志許米岐」は地名に類する言葉と思われます。

 

「いなしこまい(都道府県)」+「しこまい(市町村)」+「き(番地)」

の様に現代の住所と似たシステムの使用を推測しました。

 

例えば、「鹿児島県」と「鹿児島市」の様に県庁所在地が

一致するのと同じく「しこまい」も考える事が出来るように思えます。

 

また、「岐」については、「山道が枝状に分かれる」という意味から、

「多くの都市へ伸びた道を有する土地」の意味と解釈しています。

 

つまり、「岐」の付く地名は重要都市で周りの國や都市に繋がり、

人が物流などの為に移動出来る「公道」が整備された土地

だったと考えています。

 

その事から、「伊邪那岐」家は「岐」と言う「重要都市」を有する家系で、

首長クラスの地位を保有していた可能性を考える事が出来ます。

 

☆志許(しこ)

 

古事記:「豫母都志許賣」

 

日本書紀:「醜女、此云志許賣」

 

黄泉國編で登場した「しこめ」の使用されている漢字を見ると、

「志許」が使われていて一つの単語と考える事が出来そうです。

 

そして、「伊那志許米志許米岐」では「米」を使っていますが、

記紀では「賣」を使い人物名とそれ以外を分けています。

 

古事記の原文を「賣」で検索すると「比賣」、「毘賣」など、

女性の人物名に使われている事が分ります。

 

日本書紀は「比賣」、「毘賣」などの女性の人物名を、

「姫」や「媛」へと変更しています。

 

これらの事から、「米」=「賣」で「め」と読まれていなかったと

推測する事が出来そうです。

 

次に意味についてですが、「しこまい」で考えた様に、

「元気のある」と言う意味とすれば説得力があり、

日本書紀で「醜」の漢字を使われた理由が想像出来ます。

 

本来、「志許賣(しこめ)」とは「元気のある女性」を意味していたが、

その中には元気があり余り過ぎて「問題」を起こす人もいて、

その様な女性の起こした「醜い」行為から「醜女」と烙印された

のではないかと考えて見ました。

 

「酒」の席での失態や部族によっては「おとなしい」を良しとし、

「元気すぎる」のは「醜い」と考える一族もあったかも知れません。

 

世界各国から遠路はるばる数世代を経て列島に移住した部族が、

母国の女性とは違ったりして「嫌悪感」に繋がったかも知れない事を

否定する事は出来ません。

 

あと、黄泉國編の最後で「志許賣(しこめ)」が、

「伊邪那岐命」の次に坂を下って逃げて来る場面も、

生命の危機である緊急事態において「元気のある女性」でないと、

坂を下りたり、川を越えたりするのは無理ではないかと思います。

 

多分に、「妹伊邪那美命」の暮らしていた家には、

多くの人が暮らしていたと思われますが、緊急事態で動ける人が

少なかった為に「元気のある女性」を募って、苦肉の策で、

救援を呼ぶ為なのかは不明ですが、先に移動させたという

解釈も出来るように思っています。

 

☆何を指す単語か?

 

「雷が稲を育てる」思想から

「稲妻」+「元気のある米」+「元気のある米」+「岐(地名)」と

考えるに至りました。

 

ただ、「いなしこまい」とするのか「いな」+「しこまい」とするのかは、

情報が不足していて判断は難しいです。

 

納得できそうな解釈は見つかりましたが、

「伊那志許米志許米岐」はどの地域を指すのかが分りません。

 

「米」を「こめ」と考える事で「元気のある米」と解釈しましたが、

「米(まい)」の意味に別の意味があるのだとしたら、

考え直さなければ行けませんが、現段階では思い付きません。

 

「元気のある米」の解釈で考えると、適度に「雷」が発生する地域で、

周りには「田園地帯」の様な風景があり、道が二カ所以上の場所と

繋がっている地域と推測しています。

 

一点、気を付けなければ行けないのは、

「田」の様な「区画整理」した田んぼなのか、それとも、

「低湿地帯」にある野生の稲の事なのかの判断です。

 

「男」の漢字により「野生の稲」から栽培化した「苗」を

田に植えていたと推測する事は可能ですが、

「田」に関連する事柄を記紀から読み取れません。