サトシヒメ(番外編Ⅱ)~小さな恋のメロディー~第7話 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

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気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります



     <すぅ・・すぅ・・・>




貴方の腕の中で泣きじゃくっていた栞は
いつの間にか貴方のいたベッドの上で規則正しい寝息を立てていた


でも貴方の温もりを間近で感じながら眠る栞の寝顔は
少し疲れが見えるモノのいつもの穏やかな寝顔と同じだった・・


貴方はそんな栞の髪を愛おしそうに何度も何度も撫でている


本当はずっとそうさせてあげたかったんだけど
今回一番疲れているのは貴方の筈だし
検査の時間が迫ってきているのもあるからと思い
栞を撫でているその手に自分の指を絡めながら
貴方にそっと声をかけたんだ・・・




。。。。。。。。。。。




「寝ちゃったね・・・」



     「うん・・そうだね」



「安心したんだろうな・・」



     「・・・・・・、うん」



「でももう直ぐ検査の時間だから・・・」



     「え?あ・・」


「大丈夫心配しないで?
 直ぐに雅紀に連絡とっておくから
 で、そのまま栞を連れて帰ってもらうよ
 今日は俺も貴方もここにお泊りだ・・・」



     「・・・・・、どうしても?」



「うん、念のため・・ね?
 今は事故直後で身体が緊張しているから大丈夫かも知れないけど
 後から症状が出るパターンはいくらでもあるんだよ?
 ね?お願い・・・今回だけは俺の我儘聞いて?俺を安心させて・・・?」



     「翔くん・・・」



「栞の事なら大丈夫、和也と雅紀がずっと傍にいてくれる
 あの2人にとっても栞は大切な存在なんだから・・
 それに明日の朝には帰れるんだ・・その時は俺も一緒に帰る
 2人で栞を迎えに行ってそのまま3人で家に帰ろう?」



     「・・・うん・・・、分かった・・・」



「ありがとう・・・」



     「ううん・・・、ごめんなさい・・
      おいら我儘ばっか・・り・・・んンッ!?」




そう言いながら視線を床へと落とした貴方の目尻に
小さく光るモノを見つけた俺は咄嗟に貴方の顎を持ち上げると
それ以上何も言わせないようにその唇を塞ぐ


貴方は俺の行動に驚いていたようだったけど
俺の心意を感じ取ったのかそのままゆっくりと瞼を閉じた



チュッ・・チュッ・・と小さなリップ音だけが部屋の中に響いてる
さっき絡めた貴方の指に小さく力が込められて
もし俺達の眼下に栞の寝顔が無かったら
そのままベッドへ押し倒してしまいそうだ・・・




「チュッ・・チュ・・」




    「ん・・んっ・・っは・・っふ・・」




「智・・・愛してる・・・チュ」




     「おいら・・も・・・ぁ・・ンッ・・・」



「・・・ッチュッ」




俺はもっともっとと強請る心を押さえ
重ねていた唇をそっと離して代わりに貴方の身体を強く抱きしめた

抱き締められた貴方は何も言ってこない

でも腕の中にある細い肩が小さく震えていて
俺はそんな貴方を守ってあげたくて
抱き締めていた腕に更に力を込めたんだ・・・



ギュッ・・・



     「・・・・・」



「智・・・」



    「しょ・・・」



「大丈夫だから・・俺がずっと傍にいるから・・」



    「!!?」



「ううん・・違うな・・
 今夜はずっと・・傍にいさせて?
 俺を安心させて・・・?お願いだから・・・」



    「しょお・・・」




抱き締めた首筋からフワリと香る貴方の香りが
一瞬俺の涙腺を崩壊させそうになったけど
俺はグッと我慢してみせた

だって俺は貴方の主治医なんだから・・・




「それに貴方は何も悪くない・・
 我儘も・・・言ってない・・」



     「・・・・・・・・・」



「我儘を言ってるのは俺だよ?
 離したくないんだ・・傍にいてほしんだよ・・・」



     「翔くん・・・」




「俺だって・・不安なんだ
 もし貴方に何かあったら・・俺・・・っ・・!」



ポロリ・・



     「・・・・・・・・」



その瞬間俺の頬を涙が零れ落ちた
ずっと堪えていた涙が一度零れ落ちるともう止められない

次々と溢れだす涙が俺の頬を通り過ぎると
青い院内着を着ている貴方の肩に涙の染みを作ってゆく・・・




「っく・・!うぅぅっ・・・」



俺だって・・・不安だったんだ・・

和也から電話を貰ってから貴方に会うまでの
ほんの数分間が途方もなく長く感じて
まるで出口の見えない真っ暗なトンネルの中を
ただがむしゃらに走っているような感覚になった


次々と脳裏に浮かぶ最悪な状況がそんな俺をさらに煽って
見慣れた景色がグニャリと歪んで見えていたんだ・・


こうして貴方の温もりをこの手で感じることが出来るまでは・・・






*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆




 
     「翔くん・・・ごめんね、ありがとう・・・」




*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆





「!?」





俺の腕の中から自分の名前を呼ぶ優しい声がする

ふと気が付けばギブスを嵌めていた筈の貴方の手が
俺の背中をそっと撫でていてくれていた・・




「あ・・ごめ・・」



    「ううん、おいらこそごめんなさい
     翔くんの言う通りにする・・
     きちんと検査を受けて来るから安心して?」



「・・・・・、うん」



     「んふふ・・ねぇ聞いて?
      おいらねさっきから2人でプチ旅行している気分になってきちゃったんだ
      どうしてだろうね?不思議な気持ち・・・」



「・・・、フフッ。そうだね・・
 でも温泉も美味しい食事も何もないけどね・・」



     「いいの・・翔くんが傍にいてくれるだけで・・
      それだけで、じゅうぶ・・・ん??」



「ん?どうかした?」



     「あれ?なんか・・前にも同じセリフを言ったような気がするな?」



「え?あ・・あぁ・・あの時だよ・・
 2人で旅行に行った時レンタル漁船が動けなくなって・・」



     「あ・・そうだそうだ・・んふふっ♪
      あの時も2人で海を見ながらこんな会話をしたんだった・・
      そう言えばあの民宿のおかみさん・・元気かな?」



「ふふ・・じゃぁ貴方の怪我が治ったら3人で行こうよ」



     「そうだね・・うん、行こう♪」



「よしっ!じゃ早速休み取らなきゃ・・」



     「え?あ・・そうだね、んふふっ♡」




「あははっ」




俺達はお互いのおでこをくっつけたまま
鼻先の触れ合う距離で優しく微笑み合いながら小さくキスをする


そして訪れた看護師さんと共に
検査室へと移動していった貴方を見送った後
病院内にあるレストランで食事をとっている筈の雅紀に
急いで連絡を取ったんだ


ベッドに残る貴方のぬくもりを感じながら
すやすやと可愛い顔で眠っている栞を
迎えに来てもらうために・・