サトシヒメ(番外編Ⅱ)~小さな恋のメロディー~第2話 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

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気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります





ー 土曜日 -



前の日からクッキーを焼いたり自分の部屋の片づけを
セッセセッセとこなしていた栞は
今朝も朝早くから起きて綺麗に身支度を整えたり
変なモノが置いていないかあちこちチェックしたりしながら
始めてお招きする友達の為に忙しそうにしていた


おいらはいつも通り栞と一緒に食べたお昼ご飯の後片付けをしながら
ソワソワと落ち着かない様子の栞をキッチンの中から覗き見る


栞は壁にかかっている時計を何度も確認すると
その度に洗面所へ走って行き
髪を梳かしながら括っている水色のシュシュを整えていた・・・






 - ピンポ~ン ー




     「あっ!?来た・・・!!」



「・・・・・・・・」



     「ねぇママ!!お友達来た!!どうしたらいいの?」




栞は部屋のベルが鳴った瞬間に目を大きく輝かせていたけど
その瞳の中には喜びと不安が入り混じったような色を滲ませていて
おいらはそんな栞の頭をそっと撫でながら
”お友達を家に誘う”という栞にとっては初めての経験を
優しく教えてあげたんだ・・・



「落ち着いて?栞ちゃん
 このマンションはオートロックだから
 とりあえずインターフォンに出て
 出入り口の扉を開けてあげないといけないの
 さ、そこの踏み台に乗ってインターフォンに出てみて?」



     「うん・・・」



栞は小さく頷くと恐る恐るインターフォンに出て
画面に映った人の顔を見ながら話をする
そして画面に映った相手が今日招いた友達だと確認してから
出入り口の解除ボタンを押した・・・



     「栞、下まで迎えに行ってくるねっ!」



「はい・・んふふっ」



     「直ぐ戻るから~」



「はいはい・・(笑)」




栞の小さな背中が嬉しそうに跳ねてる・・・
今日の為にと選んだ服は袖口が丸く膨らんだ白いブラウスと
裾にメリーゴーランドの柄の入った
ペパーミントグリーンのジャンパースカートだった



(気合入ってるな~
 テンション上がり過ぎて失敗しなきゃいいけど・・)




「・・・・まぁ、大丈夫かな?
 別に恋人が来るわけじゃないんだし・・ね」



なんておいらもどんな友達を連れてくるんだろうと少しワクワクしながら
3人分のお菓子やジュースの用意をしていた

やがて栞が出て行ってわずか5分ほどで再び玄関の扉が開き
栞の元気な声と共にかわいらしい声が2つ聞こえて来る・・・




     「ただいま~」

      「お邪魔します」
      「お邪魔しま~す」




「はい、お帰り・・・」




おいらはいつもと同じように栞に返事をしながら急いでキッチンを出て
初めて見る栞の友達を出迎えてあげる

やがて薄い扉の向こうから姿を現した栞の友達は
大きな瞳が印象的な賢そうな女の子と
フワリとした雰囲気を纏った笑顔の可愛い男の子だった・・・




カチャ・・・



     「ただいま・・・ママ」



「うん、お帰り」



     「あ・・・2人とも入って?」



       「お邪魔します」
       「お邪魔しま~す」
       


「はい、いらっしゃい・・」


     「えっと、紹介します・・・・
      こっちの女の子は柴山美咲ちゃんです
      栞のクラスの学級委員なんだよ?」



        「初めまして、柴山美咲です」


「はい、初めまして・・
 いつも栞と仲よくしてくれてありがとう」


    
        「いえ・・・あ、これお母さんからです・・どうぞ・・」



そう言っておいらに手渡してくれた小さな紙袋の中には
赤いキノコの入れ物に入った小さなチョコレートがたくさん入ってた



「え?あ・・ありがとう
 そんなに気を使ってくれなくてもよかったのに・・・
 でも嬉しいです、遠慮なくいただきます」



        「はいっ♡」



そう言って微笑んだ美咲ちゃんの顏は
少し誇らしげでとても可愛いかった


そんな様子をジッと見ていた栞はおいら達のタイミングを見計らって
ニコニコと黙ったまま立っている男の子の紹介に移った
でもその顔はちょっと緊張しているように見える・・




      「えっとね・・ママ?
       この男の子は同じクラスの伊野尾慧くんです
       栞と同じ図書委員なの・・・」



!?
(伊野尾・・?)


        
         「こ・・こんにちは」



「はい、こんにちは
 栞ちゃんと同じ図書委員さんなんだ・・
 んふふっ、仲よくしてくれてありがとう♪」



         「(//・_・//) 」




慧くんと紹介されたその男の子は
少し恥ずかしそうに俯いていたけど
でもとても可愛い顔で微笑んでいて
ちょっと雅紀くんに雰囲気が似てる様な気がした




「・・・・・」



(ふ~ん、栞はこんな感じの子が好きなんだね♡)




そんなことをぼんやりと考えていたら
早く友達と遊びたいのか栞が2人の手を取って
自分の部屋へと案内しようとしたから
出来るだけ邪魔をしないようにと心掛ける・・・



       「じゃぁママ・・?栞たちお部屋に行くね?」



「はい、あ・・栞ちゃん
 後でジュース持っていくからその時は手伝ってね?」



       「うん、分かった!」



「美咲ちゃん、慧くん
 2人ともゆっくりしていってね?」



         「「はーい」」



「んふっ♪」




いつもの見慣れた部屋に元気な明るい声が大きく響く
でもおいらはその返事を聞いた瞬間ホッとしたんだ

だってこうして栞にも心を許せる友達が出来たんだから・・




(んふふっ、良かったね栞・・本当に楽しそう・・
 学級委員の美咲ちゃんと図書委員の慧くんか♪
 特に美咲ちゃんは頭がよさそうだな
 慧くんも大人しそうな感じだし・・)



「んふふっ♡
 さ、じゃぁ3時のおやつに持って来てくれたチョコと
 昨日栞が作ったクッキーを持って行ってあげようかな?」



そう思いながらおいらはもう一度キッチンの中へ入った・・・




















。。。。。。。。。。。。。。





     「で?」




「ん?」



     「いや・・だから・・・」




「え?あぁ・・2人とも5時には帰ったよ?」



     「いや・・そうじゃなくてね?」



「え?あ・・もしかして慧くんの事が気になるの?」



     「そうそう・・・」




いつもより少し早めに帰宅した翔くんは
身に纏っていたスーツの上着を脱ぎ
ネクタイを外しながら今日の出来事を聞いて来た


と、言うよりも本当は
栞の好きな子がどんな子なのか凄く気になってるみたいで
学級委員の美咲ちゃんの事よりも
慧くんの事について色々聞いて来たんだ・・



     「どんな感じの子?印象はどんな感じだった?」



「えっとね・・フワッとした感じの優しい子で・・
 笑った顔がね少し雅紀くんに似てるような気がしたよ・・」



     !?
     「えっ!?雅紀に!?」




「うん、それに動物も大好きだって話してるの聞こえちゃったし
 話し方や言葉遣いも男の子にしてはとても綺麗だった」



     「・・・・・・・そっか・・・」




「うん・・でもね・・」



    「ん?なに?」



「翔くん・・・”伊野尾”って・・
 どこかで聞いた事ない?」



    「伊野尾?」



「うん、珍しい苗字だからね・・
 もしかしたら・・って思ってるんだけど・・・」



     「え?あ・・もしかして?建築家の・・?」



「そうそう・・もしかしたらそうかも知れないなと思って・・」



     「あり得るかも・・あっても不思議じゃないよ」



「やっぱり?」

  
     「そっか・・
      あぁ・・でもよかった~ちょっと安心したよ」



「ん?え?まだ心配してたの?」



      「当たり前じゃない
       栞の好きな子がどんな子かすごく気になるよ
       もし変な男だったら2度と敷居は跨がせない!!」



「・・・・・・、あのね・・・」



      「大切な栞を・・・
       どこの馬の骨ともわからん奴には絶対渡さないから!!」




「翔くん・・・それを親バカって言うんだよ?
 だから前にも言った通りまだ5年生だから!
 嫁に行く訳じゃないから・・ね?」



      「!!!?よ・・・嫁・・・?あぁぁぁぁ・・・」


!?
「え?ぁぁ・・大丈夫?」




おいらの言葉がそんなにショックだったのか
着ていたシャツを脱ぎ上半身裸の状態で
翔くんがヨロヨロとベッドへと倒れ込んだ

そして顔をシーツへ突っ伏したままジッと動かない・・




「翔くん・・・?どうしたの?大丈夫?」



      「・・・・・」



「ねぇ・・翔くん・・・」



おいらはそんな翔くんが心配になって
手に持っていたスーツの上着を急いでハンガーに掛けると
突っ伏したままの翔くんの背中にそっと手を乗せた


     ーグイッ!-



「えっつ!?あ・・・」




     ー ドサッ! -



「???」




でも次の瞬間
おいらの下にいたはずの翔くんの顏がおいらの上にあったんだ

翔くんはおいらの手首をギュっと握りしめ
そのままベッドへと縫い付けると
優しい瞳を携えたままでおいらの唇を何度も食み始めた・・・



     「ちゅっちゅっ・・」



「んっ・・っは・・しょ・・・?」



     「ちゅっ・・ちゅ・・・」



「もう・・騙したの?っちゅ・・」



     「騙してないよ?ちゅっ♡
      ただちょっと大袈裟にしてみただけ・・ちゅっちゅっ・・」     



「んぁ・・っ、もう・・ばか・・・」



     「ふふっ・・でもありがとう智くん・・」



「ん?何がありがとう?」



     「俺じゃ・・応援するどころか邪魔しちゃいそうだから・・(笑)」



「ふふっ・・仕方がないんじゃないの?
 父親って・・そう言うもんだって言うし・・ね」



     「そっか・・じゃ今夜も夫婦の営みを・・・」



「ごめん、今日はパス・・」


      !?
     「えっ!?なんで?」



「実はね・・・おいらも疲れちゃったんだ・・・」



     「え?あ・・・・。アハハッ、そうだよね・・・」



「うん・・・ふふっ
 でもお願い・・このまま強く抱き締めて?
 それで今夜はこのまま寝よう?ね?」



     「うん、わかった・・・(笑)」




翔くんはちょっとだけ寂しそうな顔をしていたけど
さすがのおいらも今日は疲れてしまっていて
じつはもうかなり眠たかったんだ・・


そしてギュッと強く抱きしめてくれた翔くんの
温もりが眠気を更に加速させる・・


熱く逞しい腕にこうして包まれているだけで
おいらの胸は満たされ今夜も良い夢を見ることが出来そうだなと思わせてくれたんだ・・・




「はぁ・・・落ち着く・・・」




    「うん・・・。お疲れさま、智くん・・・」




「ん・・・ふわぁぁぁ・・」




    「ふふっ、もうこのままお休み・・?」




「ん・・・・」




翔くんの手がおいらの背中をポンポンと叩いてくれる

子供をあやす時のように
小さく刻むそのリズムが本当に心地よくて
おいらは翔くんの腕の中に包まれながら
そのままあという間に夢の世界へと落ちて行った・・・