cotton candy☆彡7 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります


コツコツコツ・・・・




「あ・・あの・・・」




    「・・・・・・・・・」




コツコツコツ・・・・





「ありがとう・・・ございました・・・」



    「いえ・・・・・」



「・・・・・・・・・」



    「・・・・・・・・・・」




おいらは自分の前をゆっくりと歩くその人の後姿を見ながら
危ない所を助けてくれたお礼を言った

だってもしあの時この人が現れなかったら
今頃どこに連れていかれ、何をさせられていたのか
今考えただけでも身体がブルッと震えるほど怖ったんだ




コツコツコツ・・・





「・・・・・・・・・」




でも・・実はちょっとだけ気になった事があったんだ
それはおいらを連れて行こうとしたあの店の店主とその弟らしき人の事だ

目の前を歩くこの人と同じ軍服を着ていた人達は
おいらがその場から離れて行こうとしていた時でも
その店の店主と大柄な男を包囲したままピクリとも動かなかった

そんな様子を見ていたこの人は
自分の配下である人物に「後を頼む」と言ったきり
その場を振り返る事もせずに歩き出した

そしておいらはその人に促されるまま
その場を離れざるを得なかったんだ


コツコツコツ・・・



「・・・・・・・・・」



でもおいらはあの2人がどうなったのかが凄く気になった・・・

だって騙されてたとはいえお金も持たずに
店の商品を食べてしまった事は事実で
多少なりとも申し訳なさを感じていたから・・・




「あの・・」



    「・・・・・・・・・」



「えっと・・その・・・」



    「あの2人の事なら気にしなくてもいいですよ?」



!?
「えっ!!?」




    「気になっているんでしょ?あの後あの2人がどうなったのか・・」



「・・・・・・・、うん」



    「実は我々ももう随分と前からあの2人を見張っていたんです」



「え?そうなの?」



    「はい。だから毎日こうして街の中を見回っては
     最近出入りしている見慣れない奴や
     今回のように怪しい奴がいないかをずっと見てました」



「・・・・、すっげ」



    「だから今日の出来事に関して貴方が気にすることはないのです
     悪いのは全て・・アイツら2人なのですから・・・」



「じゃ・・じゃぁあの2人はどうなるの?
 やっぱり捕まっちゃう・・んだよね?」



    「そうですね。
     我々が知っているだけでもあの2人はこれまでに
     少なからず5人の人間を食い物にした筈なんです
     行方不明になっている皆は
     今日の貴方と同じ手口で巧妙な罠に嵌まり闇の世界へ落とされた
     そしてそのまま闇の世界で死んでいくのです・・」


!?
ゾクッ・・・!



    「でも、良かった・・・
     貴方だけでも無事に助けることが出来て・・・」



「は・・はい・・・」



    「ちなみにあの者たちは今頃牢屋の中ですよ?
     私の部下にそう命じておきましたから・・・」



「そうなんだ・・・・」



    「はい」



コツコツコツ・・・




と、その人は今回の事件の事をおいらに分かりやすく説明してくれた
でもその間、その人は一度もおいらの方を振り返ることはなく
ただ真っ直ぐに前を見ていたんだ・・














。。。。。。。。。。。。。



たくさんの人で賑わう市場を抜けると
洗ったばかりの洗濯物や
綺麗な花達が窓辺を飾っている家々を通り過ぎた

やがて目線の先に見えて来るのは
降り注ぐ陽の光にキラキラと輝いて見える白い壁が印象的な大きなお屋敷だ

年代を感じさせる鉄の門を潜ると目の前に広がる綺麗な中庭がある
庭を手入れする庭師の姿がチラチラと見て取れるほど大きなその庭には
形よく選定された木々たちはもちろん
見事に咲き誇っている花がたくさん見えて
おいらはホッと溜息をつくことが出来たんだ



「うわぁ~綺麗ですね・・」



    「ふふっ・・ありがとうございます
     できればそのお言葉は我が主に・・・」



「あ・・そうですね」



    「もうすぐ着きますよ?心の準備はよろしいですか?」



「え?あ・・うん・・・?」



    「・・・・・・・、(笑)」




背中を向けたままだったその人は
そう言いながらやっとおいらの顔を見て微笑んでくれた

おいらはその時やっとその人の顔をじっくりと見ることが出来た

太い眉毛と長い睫毛が印象的なその顔は
一見するととても怖そうな感じに見えたけど
でもその力強いその瞳の奥はとても優しくて
おいらは凄く安心することが出来た・・・

この人に着いて行けば助けてくれる・・・・って・・・





コンコン!!


ギイィィィ・・・・


     「失礼いたします・・・」
     

優しい瞳のその人は
目の前にある大きな扉のノブを2回ノックしてから扉を押し開けた

そしてその場でキチンと足を揃え
敬礼をしてから1歩その屋敷の中へと足を踏み込むと
大きなこの屋敷の更に奥に向かってこう声をかけたんだ・・・



    「ご命令通りお連れいたしました!」



!!?
(命令?それって・・どういう事?)


    「ご安心ください!かすり傷1つ付いてはおりません!!」




そうその人が誰もいない広間でただ1人言葉を放っていた
すると次の瞬間何処からともなく声が聞こえて来て
おいらは思わずドキッとしてしまったんだ



    『ごくろうさま、ジュン・・・さすが仕事が早いね』



    「恐縮です」



    『ちょっと待ってて・・今から其処へ行くから・・』



    「かしこまりました・・・」




おいらはガランとしたロビーの中で響くその声の主を
キョロキョロしながら慌てて探してみる
でもやっぱり何処を見回してみても微かな人影すら見えなかった

でも・・暫くするとその不安は一瞬にして吹き飛んだ




    『サトシくん!!』



「へぇっ!?」



    『サトシくぅ~~んっ!!!』




「え?あ・・・うそ・・・?ショウくん・・?」





    『もう心配かけさせないでよ~~~っ!!』

     


両手を広げ大きな声でおいらの名前を叫びながらあっという間に走り寄り
止める間もなくおいらに抱き付いて来たのは
隣の城に住むおいらの幼馴染のショウ王子だった・・・