「ねぇ?雅紀くん?ここは・・どこ?」
「う~ん、それが分かんないんだよね」
「・・・・・・・」
「ごめん・・・」
??
「どうして雅紀くんが謝るの?
雅紀くんは何もしていないじゃない
それにおいらを助けてくれた・・」
「う・・うん・・でも・・」
「あっ!そうだ連絡しなくちゃ・・・
きっとみんな心配してるよね・・」
「え?あ・・うん・・・」
「えっと・・携帯は・・っと」
「・・・・・・・」
見知らぬ家の布団の上で目覚めたおいらは
日本にいる翔くんに連絡を取ろうと思って
慌てて自分の周りを見回してみる
すると自分達の枕元にあの時来ていた服が
既に乾いた状態で綺麗に畳まれて置いてあったんだ
ジャケットに、ワイシャツ、ズボン、ベルト、ネクタイ
そして携帯もその横にキチンと置かれている・・
「あった・・」
「・・・・・・・・」
おいらは思わずその携帯電話を手に取った
でも・・どれだけ電源ボタンを押しても何の反応もない
隣の布団でその様子をジッと見ていた雅紀くんの顔は
<やっぱり・・・>っていうような表情をしていた
!??
「雅紀くん・・・もしかして雅紀くんの携帯も?」
「うん、完全に壊れてるよ
だってウンともスンとも言わないからね・・」
「そっか・・そうだよね・・」
「うん・・・。でもあの時の判断は間違ってなかったと思う
あともう少し遅かったら・・もしかしたら・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「翔くん・・心配してるだろうな・・」
「そうだね。でも翔ちゃんや、和ちゃんだけじゃなく
たくさんの人たちが心配してくれていると思うよ?
特に智さんは今回の主役だったんだから・・・」
「・・・・・・。何とか皆に連絡とる方法はないかな?」
「う~ん、今はちょっと難しいかもしれない」
「どうして?」
「だってこの家に電話は置いてないみたいだし
それに実はね・・俺、足を怪我しちゃったみたいなの」
「えっ!?大丈夫なの?」
「あぁ・・大丈夫だよ、たぶん捻っちゃったんだと思うんだよね
だから今立って歩くのはちょっと無理みたい・・」
「ふぅ・・大きな怪我じゃなくてよかった・・
じゃ、暫くの間安静にしていればよくなるんだよね?」
「うん、そうだね。
ごめんね心配かけて・・・」
「いいよ、大丈夫。
だってこうして雅紀くんが傍に居てくれるだけで
おいらこんなに安心できるんだから・・んふふ」
「!!?」
「ん?どうかした?」
「え?あ・・・いや・・
やっぱり翔ちゃんが選んだ人だけの事があるな~と思って(笑)」
「ん?そう?んふふふっ・・・♪」
おいら達は見つめ合いながらそっと微笑み合う
するとそんなおいら達の事をずっと見守っていてくれたお爺さんも
目を細めながらおいら達の肩をポンポンと叩いてくれていた
そんなお爺さんが部屋の片隅に置いてあったお椀を手に取ると
部屋の真ん中にあった囲炉裏に掛けてあったお鍋から何かを注ぎ入れると
溢さないようにそっと運びながらおいら達に手渡してくれる
手渡してくれたそのお椀の中には
フワフワと湯気の立った温かなお粥が入っていて
とても美味しそうな匂いを漂わせていたんだ
おいら達の直ぐ近くにいるお爺さんは何も言わないけど
でもニコニコと微笑みながら両手で<どうぞどうぞ>と進めて来てくれる
戸惑いながらそのお椀を受け取ったおいら達は
「ありがとう」と感謝を込めながら出されたお粥を全て平らげた・・
カチャカチャ・・・
「ふぅ・・っ」
「はぁ~っ、美味しかった~ッ♪」
「うんっ」
「すっごく温まるねっ、それに優しい味がした・・」
「ホントだね、おいら身体がポカポカしてる・・
それになんだか心もねほんわか温かいんだよ
言葉は分からなくても心は伝わるんだね」
「うんうん・・ホント・・」
「あぁ~。おいらお腹一杯になっちゃった・・」
「うん、結構あったもんね
俺はまだ行けるけど・・(笑)」
「えっ!?んふふっ、さすが雅紀くん・・
そんな雅紀くんだから和が好きになったんだね♪」
「あははっ・・・
いや~参ったなぁ~(笑)」
「ふふふっ・・」
「っひゃっひゃひゃ・・・」
おいら達はこうして笑えることに感謝しながら
この後どうしたらいいのかと考えていた・・
だって電話も携帯もなく言葉も通じない場所で
このまま雅紀くんを1人残しておく事も出来ない
かといって、このままここに居る訳にも行かないし・・・
なんて事を考えていたら突然ザワザワと
家の外が騒がしくなってきている事に気が付いた
ワイワイ・・
<・・・???>
お爺さんも普段と違う気配に気が付いたのか
暫くの間ジッと外の方を見ていたけど
やがて静かに立ち上がるとそのまま家の外へと出て行ってしまったんだ
ザワザワ・・・
<・・・・・・・・・・>
「ん?どうしたんだろう?
それに何だか外が騒がしいような気が・・」
「???」
ザワザワとした声がどんどん大きくなってくる
やがてその騒めいた声はおいら達のいる家のすぐ近くで止まった
ー !!? -
<・・・か?・・・・下さい・・>
!?
「・・・・・・え?あれ?
今、日本語・・聞こえなかった?」
「えっ!?」
「???」
そう言った雅紀くんの言葉がおいらの胸に
「もしかして・・」と淡い期待を持たせる
おいらは胸をドキドキとさせながら
騒めいている外の気配に気を配る
すると次の瞬間
それまで閉じられていた家の扉がゆっくりと開いて
その場所に見慣れた姿をした人が姿を現したんだ・・
『・・・・くん?』
「!?」
その時、扉の向こう側が余りにも明るくて
こうして部屋の中から見るとその姿が完全に逆光になっていた
でもそのシルエットは
おいらが一番逢いたい願っていた人の姿そのものだった
そしておいらの名前を呼ぶ愛しい声が部屋の中に小さく響く・・
『智・・・くん?』
「!!!?」
おいらはその声を聞いた瞬間
ゆっくりと滲んで見えなくなってゆく景色の中
小さく震える声で愛しい人の名前を呼んだんだ・・
「しょ・・お・・・くん・・・?」
。。。。。。。。。。。。。。。
こんばんは、シエルです
実家から無事に帰ってまいりました
今晩は新年一発目のお話しと言う事で少し遅くなりましたが
<サトシヒメ>の続きをお届けさせて頂きました
さぁ!今年も頑張りますよ~
智くんの春ドラマも決定したようですしね、んふっ
今年もどうぞよろしくお願いしますヾ(@^▽^@)ノ
シエル