平成が終わりを告げる頃書いた

「平成恋愛事情」の番外編を

 気まぐれに綴っていきます。

 よろしければお付き合い下さい。


   


前回からの続きです。

私が絵画の女性に似ている、と
声を掛けてきたカメラマン。
もしもこれが日本の美術館でのことなら
笑い飛ばしておしまいだったでしょう。


けれど、場所はルーヴル美術館で
その上失恋の痛手を被っていた身には
この出会いが運命だと
信じてしまったのです。


そして、今から思えば
その予感は当たっていたと言えます。


私たちは
ルーヴル美術館でいったん解散。
夕刻にサン・シュルピス教会で
待ち合わせすることになりました。
二人ともその近くのホテルに
滞在していたからです。


彼が滞在していたのは
彼のパリの常宿らしいのですが
「誰にも教えたくない」
と私にも明かしませんでした。


と同時に
決して私の宿がどこか
尋ねることもありませんでした。


約束通り教会で落ち合った私たちは
ディナーまでの時間
肩寄せながら
セーヌ川沿いを練り歩きました。


ふと彼が立ち止まり
そして
こっちに来て、
とシテ島の方に進み始めました。


ノートルダム大聖堂に行くのかな?
けど、もう日が暮れそうなのに。
と思う私の手を引いて
彼はノートルダム大聖堂とは
逆方向に向かいました。


彼はシテ島の東の橋、サン・ルイ橋を渡り
サン・ルイ島の先端に私を立たせました。
「僕のパリの一番のお気に入り場所だよ」
「この夕暮れ時に限るけどね」


しばらくすると
日が沈み始め
大聖堂がオレンジ色に染まりました。
そしてそれが終わったかと思うと
いっきにパリの街に夜が訪れました。


「この時間を君と共有したかった」
そう微笑む彼に
私も静かに微笑み返し
そして思ったのです。
パリにやって来て良かった、と。


つづく、、、。




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