監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
主演:ミシェル・ピコリ
2001年 ポルトガル=フランス


90年以上生きていると、神さまに近づいていくのか、このおじいちゃんには全く驚かされました。

「夜顔」のマノエル・ド・オリヴェイラ監督。


老年期の「権力を手放す」「物欲を捨て、さらに精神的なものへ向かう」段階を役者として舞台で経験し、実生活では愛する人の死と孤独に向き合う主人公。

どちらも、ごくありふれた人生の終盤にしなくてはいけないこと。

自分の蓄積していったものを、軽々と捨ていくことの難しさ。
こだわりやポリシーと言い換えられた、自己を狭める頑固さ。
「孤独と生きていく」という望まなくてもしなくてはいけない問題から目をそらす為に、孤独を選ぶこと。



この監督は「家路(家に戻る)」ということは、安全な「子宮に戻る」ことを意味していると答えています。
子宮に戻るということは、死を受け入れて新たな生を認めること。
99才の監督は、死を覚悟して更に生を肯定し続けているのです。


監督のインタヴュー映像は、下手な小説や哲学書より面白いです。
その思慮の深さに驚くばかりでした。