「ボヘミアン・ラプソディ」の映画がヒットして、ボヘミアン・ラプソディの楽曲のストリーミング再生回数が、すごいことになっている。
この曲の良さを知ると、ループして何度も聴いてしまう。
映画のタイトルである「ボヘミアン・ラプソディ」という曲は、何とも不思議な曲なのです。
「ママ、たった今人を殺してしまったんだ・・・」
と衝撃的な始まり。
映画が始まるかのような、小説の始まりのような。
人を殺したというフレーズをあえて歌詞にした、フレディの思いとは何だったのか。
いろいろな人たちが、この歌詞に込められたフレディの思いを語っています。
それほど、興味深い曲なんですね、この曲は。
貧しい家庭で育った少年は、自分に自信がなく、ボヘミアンのように心がさまよっていた。
ある日、少年は人を殺してしまった。
ママが知っている時の僕はもういないんだ。
ママ、こんな僕でごめんね。
でも、気にしないでほしいんだ。(僕のことは忘れてほしい)
母親に罪を告白し、罪から逃れたいと神に願うも、邪悪な悪魔が自分を連れていこうとする。
神様は決して許してはくれない。
この状況から、逃げ出さなくちゃ。
だけど、本当はどうでもいいことだってみんなわかってるよ。
僕にとってもどうでもいいことなんだ。
どっちみち、風はふくんだから・・・
曲を簡単にまとめるとこんな感じかな。
とても美しいピアノから始まるのですが、悲劇の物語ですね。
物語が始まって、中盤はオペラパートになり、最後はロックで締める。
とても面白い展開。
オペラパートで登場する「スカラムーシュ」や「ガリレオ」「ビシュミラ」はフレディの言葉遊びのような気がします。イタリアのオペラに関した言葉や、イスラム教に関する言葉が盛り込まれているので、オペラ調に仕上げるために、音の響きで選んだかもしれませんね。
オペラが大好きだったフレディのセンスでしょう。
オペラは悲劇と喜劇が展開します。
「ボヘミアン・ラプソディ」も劇的な展開が必要だったのです。
余談・・フレディといえばピアノですが、フレディが実際にピアノを習ったのは、幼少期のたった2年間です。
フレディの中学時代の同級生の話では、ラジオから流れる曲をその場で耳コピしてピアノで弾いていたそうです。
音に関しての感性と才能があったことがわかります。
言葉についても、フレディにはとても面白い音や響きに聴こえていたのかもしれません。
フレディはこの曲について解説をしていません。
なので、本当のところは謎のままです。
作者が曲の解説をしてしまうと面白くないですね。
イマジンが大切で、人によって解釈は違ってよいし、自分の今置かれている状況によっても、曲の物語の展開は違ってきます。
しかし、フレディは、この曲に自身のことを、さりげなくカミングアウトしているのかもしれませんね。
ミュージシャンやアーティストは、自身の作品に何かしらメッセージを忍ばせることが多いようです。
暗号のような、誰にも解けない形で・・・
フレディが亡くなってから、この曲について、長年一緒に仕事をしてきた「ティム・ライス」が、フレディのセクシャリティーについての苦悩を歌詞に込めているのだと言っています。
また、Queenのファンクラブの秘書であるジャッキーもそう言っています。
自分のセクシャリティーに気づきながらも、それを告白できない状況。
時代や宗教や家族、いろいろなことがフレディを苦しめ、本当の自分ではない自分を自らの手で殺したのだと。
でもこれも彼等の想像でしかないのです。
フレディが語ったわけではないのに、そういうことになってしまっている。
ブライアン・メイはこの曲について、フレディ自身のことをいっているのは間違いないのではと話しています。
フレディは、自分の子供の頃の話や、悩みなどは一切周囲に話さなかったようです。
メンバーでも、フレディのことは知らないことがたくさんあった。
誰にでも、隠したいことや、話したくない過去はあります。
触れられたくないことや、自分のコンプレックスにベールをかけながら生きていくのです。
さらけ出したから生きやすいわけではない。
特にフレディは、傷つきやすい自分を知っていたのでしょうね。
セクシャリティーについて、最後まで両親にカミングアウトはしていません。
「ボヘミアン・ラプソディ」に込められたフレディの思いは、曲の最後の歌詞にあるのかもしれません。
「どっちみち、風はふくんだから・・・」