今日、映画「ほかげ」を見に行きました。
(ほかげは漢字で書くと火影)
戦後を描いた作品。
戦争孤児の男の子の目を通した戦後の大人たちの様子はあまりにも暗く陰惨。
戦争は終わっているが精神を病む大人たち(帰還した兵士たち)で溢れている。
映画のストーリー自体は実話ではないが、おそらく戦後の混乱期にはこういう光景や出来事はアチコチで実際に起きていたのだろうと想像に難くない。
そして、孤児を演じた男の子もまた、その演技は素晴らしく、素晴らしいが故に見るのがとても辛かった。
↓ここからはかなりネタバレになります。
孤児の男の子(役名なし)は(おそらく)自分を守る為に、倒れていた兵士の手に握られていた銃を手にして、その銃を常に自分のバックに入れている。
この「銃」がこの映画の重要な鍵にもなっている。
銃を巡り大人に振り回される男の子。
そして自分の戦死した子供の姿を重ねて男の子の面倒を見ていた趣里さん演じる女性(役名なし)は、
その男の子に「銃はあなたが持っていてはいけない」と言い聞かせ、女性の家のある場所(缶かんの中)に入れさせる。
ラストシーンでは男の子がその女性の病気(梅毒)を知り、闇市で働きわずかなお金を手にした男の子は女性の為に食べ物を買おうとするがお金が足りない。
ふと、見ると女性用の洋服が売っている。
男の子は女性に洋服を買おうと思い直し、服を手にしながら売ってるオバサンに「これは良い生地なのか」など質問をしている最中、どこからともなくバーンと一発の銃声が聞こえる。
闇市にいた人々は一瞬、動きを止めるがすぐに元の賑やかさに戻る。
銃声を聞いた少年は全て悟ったように、手にしていた女性用の洋服をそっと元に戻す。
そしてこの映画は終わる。
そういうシーンは全くないものの、最後の一発の銃声と、男の子の悟ってしまった表情は、
自分が持っていた銃で女性が自殺をしたことを思わせるに充分だったし、私はそう理解した。