※このお話は、長編・『HELLO HELLO』の番外編で○○の友達の沙羅と田中樹くんのお話です。


私の名前は、平川沙羅(ヒラカワ サラ)。

今年の春🌸から色彩学園に通う事になり、今は事情があってマンションで一人暮らしをしている。

私「ハァ~💧マジ最悪…傘忘れたし😖」

下駄箱でザーザー降りの雨を見つめながら立ち尽くしていると、私の隣に誰か来た。

田中「傘無いの?」

話掛けられて隣を見ると、茶髪でピアスの見るからにチャラそうな男が私を見ている。

『なんだ?コイツ(¬_¬)。メチャメチャ馴れ馴れしいんですけど!茶髪にピアスとか見るからに女好きそうでチャラいし…気安く話し掛けんなよな(-”-)💢』

私「……。」

関わりたくないのでシカトする事にした私は鞄からスマホを取り出す。

田中「もしも~し!俺の声聞こえてる~?」

私「……。」

『ずっとシカトしてれば諦めてどっか行くでしょ(-_-)』

何も聞こえないフリをしてスマホを弄る私。

田中「シカトかよ。感じ悪いな~😡💢」

『感じ悪くて悪かったな。サッサとどっか行けよ(-”-)』

田中「ハァ~💧」

男が深いため息をつく声が聞こえる。

『ため息とかウザっ!早く消えろよな(-”-)💢』

田中「…あッ!北斗、やっと来たか😄」

真面目そうな男が下駄箱に来るとチャラ男は嬉しそうに笑う。

この時、私は不覚にも笑顔は可愛いと思ってしまった。

笑顔は可愛いくても、私はチャラい男は大嫌い。

だから私は、チャラ男に早く居なくなって欲しかった。

『やっと行くかな😌』

友達が来た事でチャラ男が居なくなると安心していると、チャラ男が私の前に歩いて来た。

『何だ?』

スマホから顔を上げると、チャラ男が私の前に傘を突き出す。

田中「ほら😊🌂」

私「…え😓?」

田中「傘無いんだろ?これ使えよ😊🌂」

私「で、でも、私に傘を貸したらアンタはどうすんの?余分に持ってんの?」

田中「いや?この一本だけ。傘なんて何本もあるわけ無いでしょ?かさばるし😄」

松村「傘だけに(笑)?ダジャレとか寒過ぎるんですけど(¬▽¬)」

靴を上履きから革靴に履き替えながらチャラ男にツッコミを入れる友達。

田中「バっカ!違うし💢たまたまだよ😡💢」

私「一本しか無いならいいよ、遠慮しとく。傘を貸して後で恩着せがましく言われるのも面倒だし…それに、雨ならそのうち止むでしょ😌」

松村「雨、これからもっと強くなるみたいだから止まないよ?これ、天気に詳しい阿部先輩が言ってたから確実😊」

私「…別に雨に濡れるぐらい、どうって事ないし😌」

田中「制服って雨に濡れると臭くなるんだよな~(-▽-)」

松村「確かに!めっちゃ臭くなるよね😄」

私「~~っ(-”-)」

田中「意地張ってないで素直に借りれば良いんだよ😊」

そう言ってチャラ男は私の手首に傘を掛けると友達の所へ走って行く。

田中「つーわけで、北斗の傘に入れてね😁❤️」

松村「え~💧男と相合傘とか嫌なんだけど😖」

田中「そんな事言わずに入れてよ。俺と北斗の仲じゃん😁❤️」

松村「どんな仲だよ(-△-;)☔️」

文句を言いつつもチャラ男を傘に入れてあげる友達。

私「あ…😓ちょっと!」

田中「傘!返すのいつでも良いから~🎵じゃあね~👋😄」

振り返って私に言うと、チャラ男は友達と話ながら歩いて行く。

私「行っちゃったし(-△-;)。歩くの早ッ!」

『傘、返すのいつでも良いって言ってたけど早めに返した方が良いよね?…ん?返す?』

私「……あッΣ( ̄□ ̄;)!名前聞くの忘れた💧」

『ウッカリしてたな~💧名前が分からないと返せないじゃん。アイツもバカだけど私も大バカだわ😖』

ふと手元にある傘を見てみると、“田中  樹”と書いてあった。

私「これ、アイツの名前かな?田中…何て読むんだろう?いつき(-"-)?」

次の日、私は傘を貸してくれた“田中  樹”というチャラ男を1年A組から3年E組まで探す羽目になった。

1年のクラスを探し終わって、2年A組の人に聞いてみたらチャラ男は2年D組に居るらしく女ったらしで有名らしい。

まぁ、そんな気はしてたけど…

私の一番嫌いなタイプだからサッサと傘を返して終わらせようと思い、次の休み時間に傘を持って2年D組に行ったらチャラ男は居なかった。

チャラ男が居なくて安心したような残念なような複雑な気持ちになりつつも、私はD組のクラスメイトに頼んで傘を返してもらった。

傘を返したらもう関わる事は無いと思ってたんだけど…

休みの日に夜ご飯を買いにコンビニに行ったらチャラ男が居た。

田中「あれ?お前はこの間の😓」

私「ゲッΣ(-△-|||)!チャラ男じゃん…最悪(¬△¬;)」

田中「ゲッてお前な~💧つーか、チャラ男ってなんだよ。失礼なヤツだな😡💢」

私「見た目がチャラいんだから仕方ないでしょ?チャラ男って言われたくなかったらチャラい格好しなきゃ良いんだよ😌」

田中「その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ。チャラ子め(-”-)」

私「はぁ~!?チャラ子~💢?」

田中「何?それ、お前の夜ご飯?」

私が持っているお弁当を見ながら聞くチャラ男。

私「そうだけど…何か文句でもあんの💢?」

田中「一個だけ?今日、お前一人なの?」

私「そうよ!私、一人暮らしだから。もう良いでしょ?私、もう帰るから(-"-)💢」

それだけ言ってレジに行こうとすると、チャラ男が私の手を掴む。

田中「ちょっと待って!」

私「ッΣ(//□//)💓!?な、何よ、いきなり!離して(//>△<//)💦」

いきなり男の人に手を掴まれてビックリしたのとドキドキしたので、私は慌てて掴まれた手を振りほどく。

田中「ああ、悪い。つい😅」

私「…で?なんなのよ、一体(//¬"¬//)」

田中「ウチ来る😄?」

私「……は(・△・)?」

いきなり過ぎて訳も分からず、気付くと私はチャラ男の家にいて夕御飯を一緒に食べていた。

田中家の家族「いただきま~す😄🍴」

『何で(-△-|||)?』

田中の母「いっぱい食べてね😊」

私「あ…は、はい💦いただきます😅」

田中「沙羅!遠慮しなくて良いからな!ウチの飯は弱肉強食で常に戦いだから、遠慮なんかしてたら食いっぱぐれて生きていけねーからな😁」

『沙羅って…いきなり呼び捨てかよ。それより私、いつ名前を教えたんだっけ(-_-;)?』

チャラ男の家は7人家族でメチャメチャ賑やかだった。

騒がしいのは苦手なはずなのに、何故かチャラ男の家は居心地が良く感じた…何でかな?

私「ごちそうさまでした😊」

田中の母「またいつでも来てね。ウチは男ばっかりだから、沙羅ちゃんが来てくれると嬉しいわ(*^^*)」

私「そう言って頂けて私も嬉しいです。お言葉に甘えてまた遊びに来ますね😊」

田中「母ちゃん!俺、沙羅を家まで送ってくるから😄」

私「え😓?」

田中の母「もう遅いから、気を付けて帰ってくるんだよ😊」

田中「は~い🎵沙羅、行くぞ😄」

私の言葉を待たずにサッサと歩いて行くチャラ男。

私「ちょ、ちょっと待ってよ😣💦」

チャラ男のお母さんに頭を下げると、私は慌ててをチャラ男を追って家を出た。

私「ねぇ!ちょっと待って😣💦」

チャラ男の腕を掴むと、チャラ男は足を止めてくれた。

私「私なら一人で帰れるからアンタは家に戻んなよ。」

田中「樹。」

私「は😓?」

田中「俺の名前、アンタじゃなくて樹だから。樹って呼んでくんなきゃ返事しない(-△-)」

私「なッΣ( ̄□ ̄)!?」

『ガキかよッ😣💢』

田中「……(-_-)」

無言で私の目をジッと見る樹。

私「わ、私は一人で帰れるから…じゅ、樹は家に戻って(//-"-//)」

『なんか、メチャメチャ恥ずい💧』

田中「嫌だね😌」

私「へ(・△・)?」

田中「こんな夜中に女を一人で歩かせられるかよ。…ほら、早く案内して?沙羅が連れてってくんないと道分かんないから😊」

優しく笑う樹。

私「っΣ(//・_・//)💓!…~っ(//>_<//)💦」

誰かに優しくされたのも、優しい笑顔を向けられたのも初めてだったから私は思わず泣きそうになった。

泣きそうな顔を見られたくなくて、私は足早に家に向かって歩いた。

田中「えッ😓!?ちょっ!沙羅、歩くの早くない😣!?」

慌てて私を追い掛ける樹。

後ろから樹が私を追い掛けて来てくれる足音が聞こえて嬉しい反面、凄く不思議な気持ちになった。

『何で樹は私なんかに優しくしてくれるんだろう?私なんかに優しくしても何も良い事なんか無いのに…』

田中「も~ッ!早くとは言ったけど、こんなに早く行く事ないのに😡💢」

私の隣に来ると、樹は小声で愚痴を呟く。

私「…ねぇ。」

田中「あ?何よ(-"-)?」

私「樹の家って温かいね(*^^*)」

田中「…(・_・)。そうかぁ~?普通でしょ😌」

私「ううん、温かいよ。私の家とは大違い。」

田中「…沙羅って何人家族?」

私「一人。私には家族なんて居ないよ。」

田中「…え?居ないの?居ないって事は無いでしょ😅?」

私「居ないよ、家族なんて…私はずっと一人だった。」

田中「……😓」

私の言葉にビックリして固まる樹。

私「私はね、小さい時に親が離婚して母親に引き取られたんだけど…母親が男にだらしなくてさ。毎日違う男が家に来るから嫌で嫌で…高校生になったら家を出るって言ったら、母親も私が邪魔だったんだろうね。喜んで一人暮らしを許してくれたよ。一人暮らしをするって言ったのは私だからって、生活費は一切なかったから毎日バイトばっかになったけど…それでも私はあの地獄から出られて嬉しかった😌」

田中「…お前、見掛けによらず苦労してんだな。」

私「そうよ~。樹は恵まれてるんだから、もっと両親に感謝して大事にした方が良いよ~😌🎵」

田中「…お前さ、本当に俺ん家で良ければいつでも来いよな。ウチの母ちゃんや父ちゃんを自分の親だと思っても良いし。なんなら兄ちゃんや弟も自分の兄弟だと思ってこき使っても良いからな😊」

私「…ありがとう。凄く嬉しい✨樹って優しいね(*^^*)」

田中「何~?今、気付いたのかよ😖おっそ!」

私「(*^^*)」

樹の事、初めて会った時はあんなに嫌悪感があったのに今は一緒に居ると安心する。

人は見掛けで判断しちゃ駄目だね。

それから私はしょっちゅう樹の家に行くようになった。

学校でも樹と一緒に居たかったけど、樹のそばにはいつも女が居たから…

樹のそばに居る女は毎日違ったから、彼女じゃないんだなって思えて安心出来た。

チャラい男は大嫌いだったはずなのに、樹だったら許せると思うくらい私は既に樹に惹かれていた。

そんな女ったらしの樹だけど…好きな人がいるっぽい。いるっぽいって言うか、確実にいる。

その相手の目星も多分だけど付いてる。

樹が好きなのは、私の友達の○○なんだと思う。

樹と一緒に居る時、LINEが来たからスマホを見たんだよね。

そしたら、隣に居た樹に待ち受け画面を見られた。

私の待ち受けは○○と一緒に撮ったやつで、樹に「あれ?沙羅って○○と友達なの?」って聞かれた。

私が「そうだよ。樹、○○の事知ってるの?」って聞いたら、「元カノ。」って言われた。

正直、信じられなかった。

○○は生徒会長の阿部先輩が好きだって言ってたし、目黒とか真面目なタイプが好きなんだと思ってたから…

樹に「今でも○○の事が好きなの?」って、思い切って聞いてみたら「もう好きじゃない。」って言ったから安心した。

樹が私の待ち受けの○○を愛おしそうに見つめていたのに気付いてたけど、私は敢えて見ないフリをした。

樹が今でも○○の事が好きだって思ったら、私はきっと○○に嫉妬して今までみたいに○○と仲良く出来なくなると思ったから…

○○は優しくて良い子だし、やっと出来た友達だから嫌いになりたくないし。

○○に彼氏が出来れば樹も諦められると思ったから、私は目黒が○○と付き合えるように出来る限り協力する事にしたんだけど…

目黒の事が好きな女子が多くて結構大変💦

2人っきりにしようとしても邪魔されるし…目黒ファンは手強いわ😖

私「目黒!私はアンタの味方だから頑張んなよ👊😠」

目黒「え?お、おう😓…急に何(-△-;)?」

『○○には早く目黒を好きになってもらわないとッ!まぁ、目黒は良いヤツだから私が協力しなくても大丈夫だとは思うけどね😌』

私も樹に好きになってもらえるように頑張らないとッ✊😆

樹ともっと一緒に居たいし、樹の事をもっと知りたいと思った私は、勇気を出して樹をデートに誘ってみた。

断られると思ってたのに樹はアッサリと承諾してくれた。

そして今、私は樹と駅前まで遊びに来ている。

沙羅「…ねぇ、樹は好きな子とか居るの(//¬_¬//)?」

田中「好きな子?ん~、沙羅😁❤️」

沙羅「っΣ(//□//)💓!?ば、バカっ(//>△<//)💦」

田中「はぁッ!?何でバカなんだよ😡💢」

沙羅「知らないッ(//¬△¬//)💦」

顔が熱くなるのを感じて、私は紅くなっているであろう顔を樹に見られたくなくて顔を背ける。

田中「なんだよ、も~!意味分かんねーし(-"-)💢」

『び、ビックリしたぁ~!樹の事だから絶対に冗談なのに…も~ッ!こんな事でドキドキすんな、私の心臓ッ(//>△<//)💦』

田中「…ん?あれってもしかして…○○か(-”-)?」

目を凝らして向かいの道を見つめる樹。

私「○○?……。」

樹に言われて見てみるも離れていて私には分からなかった。

私「人違いじゃない?」

田中「いや!あれは絶対○○だよ。俺には分かる。」

自信を持って○○だと断言する樹に、私の胸がズキンと痛む。

田中「心配だからちょっと行ってくるわ。すぐ戻ってくるから待ってて!」

私を置いて○○の所へ走って行こうとした樹の腕を慌てて掴んで引き止めた。

私「駄目ッ😣!」

田中「…え😓?」

私「行かないで…お願い😖」

樹に言いながら自分でも泣きそうになっているのが分かる。

どうしても○○の所には行って欲しくなかったから…

でも、そんな私を樹は冷たく突き放す。

田中「…ごめん。俺、アイツの事を放っておけないから…手、離して?」

私「……。」

樹に嫌われたくなくて私は素直に手を離した。

私が手を離すと、樹は振り返る事なく○○の所へ走って行った。

『なんだ…やっぱり樹は、今でも○○が好きなんだね。私には「もう好きじゃない。」とか言ってたくせに…放っておけないって言うのは、好きだから放っておけないとか大切だから放っておけないとか好意的な言葉だもんね。』

溢れ出る涙を止められず、私はその場から立ち去る事にした。

こんな顔で樹には会えないし、今までみたいに笑顔で話す事は出来ないと思ったから…

こんなにつらい思いをするくらいなら

あの時、樹に出会わなければ良かった。

もしも過去に戻れるならあの日に戻りたい。

傘さえ持っていれば樹と出会う事も

樹を好きになる事もなかったはずだから…

たった一本の傘で私の人生は変わった。

少し前までは樹と出会えて幸せだったのにな。

こんなにも一瞬で天国から地獄に変わるんだね。

やっぱり私は幸せにはなれないっぽい。

産まれた時から持病があって薬が手離せないし、

家族にも恵まれなかった。

母親があんなだから友達が出来ても離れてく…

だから私はずっと孤独だった。

幸せになれるとか期待するだけ無駄だと悟ったから

いつしか私は幸せになりたいとも思わなくなった。

でも…高校生になって○○や樹と出会って毎日楽しくなった。

やっと私のクソみたいな人生も良くなってきたかなって思ってたのに…

やっぱり運命はそう簡単には変わらないのかな?

どうすれば樹に好きになってもらえるんだろう?

まずは自分の事を好きにならなきゃ駄目かな?

自分が自分の事を嫌いなのに

他の人に好きになってもらえるわけないよね?

でも…こんな自分の事をどうやって好きになれば良い?

誰でも良いから教えて欲しい。

嫌な自分を好きになる方法を…


《END》