夏なので、冒険や怪奇をテーマに本を選んでみようかなと思います。
今回はディズニーの「リトル・マーメイド」の世界を元に、もしアースラがアリエルとトリトン王に勝ってエリック王子と結婚してしまったら・・・というもうひとつの世界を描いた物語。
「ゆがめられた世界 パート・オブ・ユア・ワールド」上巻
リズ・ブラスウェル:著
池本尚美:訳
(学研プラス 2021年11月刊)
映画ではエリックとの結婚を目前にトリトン王に滅ぼされてしまったアースラですが、本作ではトリトン王を負かして首尾よくエリックと結婚。
トリトン王はポリプに変えられて小瓶に入れられ、アリエルは声を奪われたまま海に追放されてしまいます。
それから数年経ち、今は女王として海の国を治めているアリエルですが、囚われているトリトン王をどうにか助け出したいと考えています。
王の三叉の鉾は奪われなかったため、その力を使って再び人間になったアリエルはエリックの城に忍び込みますが、城では王子妃のバネッサ(アースラ)が権勢を振るっていました。
エリックはアースラにかけられた催眠で妃には逆らえず、音楽と散歩に日々を費やしています。
その間に軍備を増強し周辺の国々に攻め込んで領土を増やしていくバネッサ。平和だった国はすっかり変わってしまいました。
アリエルとのことは記憶から奪われたはずのエリックですが、作ったオペラは人間の王子と人魚姫の出会いと別れの物語。赤い髪、青い瞳の人魚のことをたまに思い出すことがあり、それが何なのかエリック自身にもわからずにいます。
一方、アリエルは城に入った当初はトリトン王さえ救出できればと思っていましたが、エリックがまだ自分を覚えているかもしれないこと、更に彼の国の状況を知り、少し考えが変わってきます。
城の仲間の手助けでエリックに会うチャンスを得たアリエル。エリックはアリエルを思い出すのか・・・。
本作はアニメで描かれたアリエルとエリックの出会いから数年後という設定。
女王になったアリエルは髪もまとめて、やや大人っぽくなっています。
ちなみに父王がいなくなったら順番としては姉が女王になるはずですが、面倒事を嫌う6人の姉たちは誰もやりたがらず。
王を失ったのはアリエルのせいなのだから責任を取って後を継ぐべきだ、と言われてアリエルが女王の座についたのでした。
本書は表紙のイラストが良いですね。
水溜鳥というイラストレーターさんの絵ですが、ラノベのキャラみたいなアリエルが可愛い♪
下巻は次回にご紹介予定です。