先週に続いて今回もアンデルセン童話集。

今回はこの4月に発売された新しいアンデルセン童話集をご紹介します。







「夜ふけに読みたい 森と海のアンデルセン童話」

ハンス・クリスチャン・アンデルセン:著

吉澤康子・和爾桃子:編訳

アーサー・ラッカム:絵

(平凡社 2024年5月刊)




このシリーズのアンデルセン童話は「雪夜のアンデルセン童話」に次ぐ2冊目で、こちらに「人魚姫」が入っています。

挿絵はイギリスの絵本黄金時代に活躍したアーサー・ラッカム(1867−1939)。






ラッカムの人魚の絵は当ブログでもご紹介したことがありますが、人魚姫の本として取り上げたことはなかったかもしれません。

惜しいのは元がカラーの絵もモノクロで載っていることです。新書館から出ていた人魚姫みたいに挿絵はカラーページにしてほしかった。でも本書はもとからモノクロの挿絵も多く載っているのは嬉しいですが。








このシリーズではニッセとノールという2匹のネコのキャラクターが、会話形式でいくつかの作品の解説をしています。軽妙な掛け合いで作品のポイントを語っていて楽しく読めます。

アンデルセン作品の恋物語について、「百点満点のハッピーエンドには絶対させないって執念すら感じるよ」の一文には笑ってしまいました。

人魚姫の家族構成が北欧神話を参考にしているというのも初めて知って興味深かったです。

巻末の解説も子ども向けの平易な文章ながら、アンデルセンの人となりや同時代の他作家とのエピソードを簡潔に紹介しています。



この「夜ふけに読みたい」シリーズにはアイルランドの昔話などもあるので、読んでみようと思っています。