今回は久しぶりにアンデルセン童話集の中の人魚姫。
昭和41年に出た世界童話名作全集のシリーズです。
「世界童話名作全集20 人魚の姫」
平塚武二:文
岩崎ちひろ:挿絵
若菜珪:装幀
(盛光社 1966年5月刊)
岩崎ちひろ(いわさきちひろ)は他のアンデルセン童話集で表紙画も描いていますが、こちらでは本文の挿絵のみを担当しています。
人魚姫のお祖母さんとお姉さんたち。
シンプルな線ですが、お姉さんたちは若い女性らしい体つきとポーズで、さりげなくお祖母さんと描き分けています。
本書は函入りでしっかりした作りですが製本がイマイチで、挿絵が見開きページにまたがると左右の間が空きすぎです。(上の画像は右ページのみ写したものです)
下の魔女と人魚姫のようにもとから空間のある挿絵なら気にならないのですが。
表紙と見返し部分の絵は若菜珪が描いています。
ハッキリした太い描線のお姫様と、細かい線で陰影をつけたチューリップや魚との取り合わせがユニーク。
他にカラー口絵を長谷川露二が描いていますが、こちらには人魚姫は入っていないのが残念。
本文では、人魚姫が海の泡になるのを海のアブクと書いていました。アブクって言い方はより消えやすくて儚い感じがしますね。