今回ご紹介するのは、幻想的で美しい挿絵の創作絵本。

名作童話を下敷きにしたダークメルヘンです。






「暗黒メルヘン絵本シリーズⅢ  青いドレスの女」

鳥居椿:絵

最合のぼる:文・写真・構成

(アトリエサード 2021年1月刊)





見知らぬ浜辺に倒れていたウェットスーツ姿の男性。

目が覚めても今までの記憶がなく、目の前には青いドレスの美しい女性が意識を失い打ち上げられていました。助けようと立ち上がった男性ですが、途端に猛烈な足の痛みに襲われて・・・。



アンデルセンの人魚姫に想を得た物語ですが、人間に恋した美しい人魚の望みは不滅の魂などではなかったようです。







この暗黒メルヘン絵本シリーズは文章の最合のぼる氏が画家の選出にも携わっていて、鳥居椿氏の耽美で精緻な絵が甘くて毒のある物語によく合っています。

人魚そのものの姿はないけれど、表紙画の女性はよく見ると足に鱗が。美しくなびくドレスの裾も鰭のようです。

最後のページに載っている絵はミステリアスですが、ちょっとユーモアも感じました。