先週に続いて今週も、19世紀の挿絵本黄金時代に活躍した巨匠たちを特集した本をご紹介します。

 

 




「絵本画家 天才たちの競作集」 新人物往来社:編

(新人物往来社  2011年11月刊)

※私の持っている本は2012年2月の第二刷です

 



 

先週ご紹介した本は妖精画が主でしたが、こちらは歴史書や風刺画など幅広いジャンルの挿絵を取り上げています。

目次を見たときにアンデルセン童話の項があったので、てっきり一つの物語を複数の画家が描いた特集かなと思ったのですが、そうではなく各画家が描いたいくつかのアンデルセン作品の紹介でした。

「人魚姫」の絵は意外と少なくて、人魚姫の挿絵がずらりと見られるかと思っていたのでこの点は少しがっかり。

でも人魚姫の物語以外の人魚を描いた絵はけっこうあります。

先週の「天才たちが描いた妖精」でも取り上げられていたウォーリック・ゴーブルの人魚の絵もありました。

 

 



 



ゴーブルの水彩画は柔らかな色使いなのにあでやかで美しいです。

当ブログでもゴーブルの描く人魚の登場するインド神話の挿絵をご紹介したことがありますが、日本美術に影響を受けただけあって東洋趣味風の絵が得意だったようです。

 

 



この他、「緑色の童話集」などアンドルー・ラングの色の名前のついた童話集の挿絵で有名なヘンリー・ジャスティス・フォードの人魚の絵、

カラー画は少ないものの、繊細なペン画で多くの挿絵を描いたルイス・リードの「人魚姫」が見られたのは嬉しかったです。

 






 

ラングの童話集に収録されたフォード画の人魚の出てくる物語は、以前に当ブログでもご紹介しています

 

 

 

 

本書はビジュアル選書というシリーズで、他にもアーサー・ラッカムを特集した本などがあるのですが、同じシリーズなのに先週ご紹介した本は新人物往来社ではなく中経出版から出ているんですよね。

内容には関係ないけれど、なぜなのか、ちょっと不思議です。