先週は絵本とファンタジーの専門誌「MOE」の
80年代の号を取り上げましたが、当時、私がMOEと平行して買っていた雑誌「詩とメルヘン」から、人魚姫が載っている号を今回はご紹介します。

「詩とメルヘン」は、やなせたかしが責任編集した詩と童話、イラストの雑誌です。
現代の抒情を感じさせる詩と、その詩をイメージしたイラストが、見開きページを使って大きく掲載されていて、毎号、絵の美しさに見惚れたものです。

メルヘン特集のこの号は、巻頭で白雪姫、銀河鉄道の夜、人魚姫の3作品のイメージ画が見開きで紹介されそれぞれの物語に作家が文章を寄せています。
人魚姫は、東逸子の絵。
立原えりかの文は、王子をナイフで刺そうとしてためらう人魚姫の心情を推し量ります。







昔「MOE」の人魚姫特集の号で、東逸子描く人魚姫が表紙を飾ったことがありましたが、東さんの人魚姫って本当にお話のイメージ通りというか、もうこれ以上の人魚姫があるかしらってくらい、私にとっては完璧です。
このページの人魚姫はちょっと大人っぽい雰囲気ですね。
腰の鱗の輝きに萌える…。(鱗フェチ  笑)


「詩とメルヘン」はどちらかというと投稿作品の紹介に重きを置いているので、おとぎ話のページは短いのですが、あまり知られていないフィンランドの昔話が載っていたりして楽しめます。
そしてフィンランドといえば、「谷山浩子の北欧旅行記」としてヘルシンキを訪れた谷山さんの紀行文も載っています。
再読して、谷山さんってシベリウスがお好きなのね、と今さら思った私。本当にファンなのか、と突っ込みが入りそうですが(^_^;)




それにしてもこの紀行文の写真、ひとつくらい谷山さんのアップがあってもよさそうなのに、ないんですよね。左のページにヘルシンキの白夜をバックに撮られた写真が載っているのですが、やはり谷山さんは小さくて表情はなんとなくしかわからず。
まぁ、アイドルじゃないですからね~。



この「詩とメルヘン」は人魚姫、東逸子、谷山浩子と揃った、私にとって感動的な号でした。ちなみに付録はきたのじゅんこコレクション。こちらも好きな作家さんなので嬉しくて、ミニポスターを部屋に貼っていた記憶があります。


このほか、この年(1985年)の秋に公開されたアニメーション映画「妖精フローレンス」と実写映画「想い出を売る店」の宣伝ページもあり。
私もこの映画観に行ったっけ。「妖精…」は中島みゆきが声で出演しているんですよね。それが目当てで観たのに内容ほとんど覚えていないのですが…。


約30年ぶりに読み返してみた「詩とメルヘン」。
様々な作家の絵の美しさに改めて感動して、ついでに高校生だった当時の自分の周りのことを、懐かしく思い出しました。





「月刊  詩とメルヘン  1985年10月号」
(1985年9月刊)