先日のブログで鏑木清方の「妖魚」について書きましたが、

「妖魚」を見た当時の新聞記者が、似ていると指摘した

ベックリンの人魚。



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アーノルド・ベックリン(1827―1901) 「海の静けさ」



う~ん、似てるかな・・・?


日本画と油絵という技法の違いはもちろんありますが、

なによりベックリンの絵は、人魚という幻想的な題材でありながら、

体臭まで感じられそうな生々しさがあります。


でも、この作品を知っている人なら、岩の上に横たわり、

蠱惑的な視線でこちらを見る清方の「妖魚」を見て、

ベックリンの影響か、と思っても不思議はないかもしれません。

大正時代の日本画壇で、人魚というモティーフ自体が

かなり異質だったでしょうから・・・。


それにしてもベックリンのこの絵、横たわって手招きする人魚も

不気味ですが、水面に透けて見える、水中の男(?)の

人魚がもっと怖いです・・・。



ベックリンは神話や文学に題をとる、世紀末象徴主義を代表する

画家ですが、その写実的な描き方は、見る人の好き嫌いがはっきり

分かれそうです。



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「波遊び」




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「海辺」




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「戯れる人魚たち」



様々な姿態の人魚を描いていますが、それはおとぎ話の

人魚のような、美しく儚いイメージではありません。

おじさん、おばさんもいれば、赤ん坊もいる、いわば

海の種族としての“生きている”人魚たち。


「戯れる人魚たち」は、絵の中から嬌声が聞こえてきそうなリアルな

人魚たちですが、色とりどりの尾ひれが美しくて幻想的です。



でも、部屋に飾りたい絵かと聞かれれば、ちょっと微妙かも。

トドみたいな太っちょのおじさん人魚はあんまり飾りたくないなあ・・・(笑)