今年一月の歌合大阪公演以来、8か月ぶりの生の舞台の観劇に行ってきました。
申し込んだうち一番当たりにくいだろうなと思っていた兵庫千穐楽公演が当たって、すごくうれしいけれど不安もいっぱい。
公演期間途中でコロナが出たら公演がなくなるものね。
兵庫千穐楽までどうか持ちこたえてくださいと祈るばかり。
待ちに待った公演当日でした。
あましんアルカイックホールは、オーケストラピットがあってバレエの公演もできる大きな会場です。
古いので女性用のトイレが少な目ではありますが(男子トイレを解放していました)、全体的に作りがゆったりとしていて、とても見やすい会場でした。
通路も広いし、席の足元も広いし、ロビーも十分な広さがあるので、狭さで気を遣うストレスを全く感じずに観劇できました。
もちろん今回はコロナ対策で一席とびでしか観客がいないので、キャパの半分の人数しかいないのですけれども。
コロナ対策で一階と二階の入場時間を分けでありました。
マスクは必携。
入り口で一人ずつ消毒液のマットを踏んで靴を消毒、手も消毒、チケットを係の人に見せて自分でもぎって箱に入れました。
上演中以外はすべてのドアを開け放す。
座席は一つおきで、前後互い違いになるように。
舞台に近い座席はフェイスシールドを着用。
私の席は真ん中の通路の沿いのほぼ中央という、いわゆるボックスシート的な場所。
普通に見て自然に舞台全部が視野に入るという、めちゃ見やすい席でした。
通路席なので客降りがないのが本当に残念だと思ったけれど、しょうがないですね。
全公演配信されているので、内容に触れます。ご注意ください。
第一部
去年の双騎はライビュでしか観られなかったのですが、そのときは思いもしない演出で、嬉しい驚きよりも期待していたものと違った戸惑いのほうが大きくて、正直なとこ「う~ん……これじゃなかった」という気持ちも無きにしも非ずという感想だった。
今回はそれの再演ということで、楽しみだけどちょっと不安でもあり。
で。いきなり結論。
よかったです!すっごいよかった!!!
慣れたのかな(コラッ!)
慣れたんだよね(コラコラコラッ!)
琵琶の音で始まるのが、いかにも口伝の物語っぽい始まり。
この「メイメイ(冥冥か?)アンアン(闇闇か?)」という歌詞で始まる曲、曲名を「瞽女のしらべ」というのですね。
ならば、歌っているのは瞽女なんですよね。
曽我物語は初期は瞽女たちが琵琶の音に載せての「曽我語り」として人々に語り聞かせたものが原型だとか。
亡者(語り?)・曽我兄弟の母・別当の三役を演じた加納さん、前より演技の切り替えがソフトに感じて、とっつきやすかった。
前は黒いショールをかぶった語り手のときの声があまりにも男の声だったので、どうしても私には違和感があったのです。
後から考えて語り手のときは性別不詳の感じにしたかったのかなあとは思ったんですが、見た目がどうしても母親の満江御前のいでたちじゃないですか。
黒いショールを取ったらお母さん役だというのは頭ではわかるんだけど。
初見では母親の亡霊が語っているのかなと思ったのです。結局瞽女だったけど。
めちゃゴツい男の声のお母さんの亡霊だな~という印象で最後まで違和感をぬぐい切れなかった。
どちらかというと老婆っぽく演じでくれたほうがいいのになあと思っていたのです。
結局瞽女だったんだけど(二度目)
今回はそこが私的に克服できたのは、少し声を変えてくれはったからだと思う。
以前よりずっと見やすかった。
箱王(膝丸)
初演時の冒頭で幼い男の子っぽく登場してきたとき、歳はいくつくらいの設定なのか?と思ったのですよ。
そして敵討ちの時点で「え?箱王はいくつくらいの設定なの?子どもが敵討ち???」と面食ったんですよね。
台詞に10数年経っているというのが一か所あったのだけど、やっぱり見た目と演技に印象って引きずられるじゃないですか。(私だけか?)
かわいいんだけど、うん、めちゃかわいいんだけど、うーん、こういう膝丸「だけ」を見たいんじゃなかったな~というのが初演の感想だったのです。
あとから調べたら、箱王は二~三歳くらいの時に父親が殺されて、16歳で元服、19歳で敵打ちを果たして没していました。
だけど今回、シナリオは変わっていないけれど、幼い箱王が少年になり、立派な青年になっていく感がしっかり演技から伝わってきたと思いました。
多分、それがお話がすごくわかりやすくなったと思った一番の原因だと思う。
だから敵討ちに違和感を覚えなかったし、かっこいい青年・曽我五郎時致を膝丸の姿としっかりと重ねて感じられたので、刀剣乱舞のお芝居を観たという満足感がちゃんと湧いてきました。
衣装の変化=年齢の変化
劇中歌、半音か一音、キーをいじった曲があったような気がする。低くてしんどそうだというのがなかった。単に上手くなったのかもだけど。
一萬の彼はやっぱすごいね。生まれついての舞台人だわ。
舞台に立っているだけで華があってパッと目を惹く何かを持ってる人ですね。
こんな天才と二人で舞台に立つ膝丸。
膝丸の彼もすごい子なんだけど、兄者があまりに天才で天然で、舞台にふと立ってるだけで自分に注目させるオーラをすっごく持ってるから、二人だけでの出陣はある意味怖いだろうなあと。
膝丸頑張れっ頑張れってなんかすごい思いながら観てたなあ。
膝丸もすごくいいのに、ほんの少しでも気を抜いたら天才兄者が全部持って行ってしまいそうな緊張感があったなあ。
刀ステと違って、曽我兄弟とお母さんの三人はマスクまったくなしでしたね。
でも、上手く考えたなあと。
アンサンブルとか他のキャストさんが衣装の一部として違和感ないデザインのマスクをしていて、そうすることで主要三人が互いにソーシャルディスタンスを守るように気を付けるだけでよいわけで。
で、演出ですが、三人が互いに触れ合う場面は全て距離を取る演出に変更されていましたが、全然違和感なかった。
クライマックスの一萬と箱王が死ぬ場面も、私は距離を取っての演出だった今回の方が好き。
劇中にバッハの「G線上のアリア」 が使われていましたね。
日本では「追悼」というイメージの強い曲ですね。
これは深く考えず素直にこの物語の曽我兄弟への追悼の意ととればいいんですよね?
さて、第二部
阿津賀志山や三百年の再演と違って、新曲が少なかったですね。二曲くらい?
構成も衣装も前回とほとんど同じ。MCコーナーの内容も同じ。
コーレスや客降りが出来ないのでそのかわりの「えおえおあ」と、膝丸が加州の単騎出陣の「情熱のSymphonia」を、髭切が三条の「Endless Night」を、それぞれソロ&新衣装で歌った。
「情熱のSymphonia」のマタドール風の衣装に同じくマタドール風の動きをスパイスにしたフラメンコっぽい雰囲気のダンスがすごい好きでした。たまに腰をキュッとひねるのがたまりません。
わ~、膝丸かっこいいよ~
と思ったら、次が兄者の「Endless Night」
これは……これはズルいっ!(何が)
なんだこれは!
すごい。すごかった。すばらしかった。
一気に空間がグランドミュージカルの一場面みたいになって。
なにこれ、ロミオとジュリエットか?!
朽ちた橋のような舞台セットがあたかも星空の下のバルコニーに見える。
さすがは「レ・ミゼラブル」経験者。
唸りました。
すっごい素敵だった。もう一度観たい。
配信を先に一度観ていたのですが、これはもう言葉にはできない生ならではのすばらしさ。
生で観て聴けた幸せをしみじみとかみしめてしまいました。
これこそミュージカルというような上質の歌と演技を上等のホールで聴く贅沢さ。
コロナで舞台は瀕死状態になるという人もいたけれど、こんな素晴らしいものが死に絶えるはずがない。
また劇場に来れて本当によかった。嬉しくて胸が一杯になってしまいました。
三浦君ありがとう。あなたの「Endless Night」は私の忘れられない一曲になりました。
源氏兄弟のお着替えのあいだは「G線上のアリア」の日本舞踊風創作舞踊。
これは御免なさい。どうしても苦手。
多分大衆演劇っぽい日舞ってあまり見慣れないからだと思う。
歌舞伎とも違う気がするし。
特に大衆演劇っぽい踊りの手のパントマイムのような早い動きをどう見たらいいのかがわからない。
見てある程度意味の分かるパントマイムだったらいいのだろうだけれど……。
あの動きに何か法則はあるのかなあ。観ながら考えてしまいました。
まあ、2.5次元も昔ならば大衆演劇のうちの一つになるのだろうね。
そのダンスの一つ一つの動きに意味を求めたりはしないから、フツーにさらっと見ればいいのかな。
でもミュの第二部のダンスでは、私はわりとハンドサイン的なものが入ってる振りが好きなのです。
たとえば「約束の空」の小指をたてて指切みたいな振りとか、「響きあって」の「湧き上がった歓声は」での「もっともっと」みたいなゼスチャーとか「波」のところの動きとか。
双騎の第一部の「巣立ちの舞」?かなあ。箱王が歌いながら羽ばたくような振りをするところもすごく好き。
大きな群れで暮らす雁。雁の子が大きくなって、その群れから離れようとするということはそれ自体が死を暗示させるわけで、それすなわち曽我兄弟が源頼朝の側近になっている男を討つことの大きな危険を想像させると思うのですけれど……。
多分、かっこいいとか素敵とか綺麗の基準が、大衆演劇を見たことなさ過ぎたり共通の美意識を持ち合わせていなかったりで、見ていてもよくわからないからだろうなあ。
大衆演劇っぽい日舞のエレガンスが勉強不足でわかってないからだと思います。
プログラムも今年の方が好きだな。
去年のはとても綺麗で素敵だったのだけど、源氏兄弟の写真集っぽくてプログラムらしくないのがちょっと物足りなかったので。
ネタバレ防止のためなのか、情報がほぼまったく載ってなかったんですよね。
観劇の記念に買っているので、やっぱ多少の情報は掲載しておいて欲しいのです。
ということで、すごく楽しめた双騎2020でした。
お昼食べてなくて、お腹がめちゃ空いて終演後アルカイックホールを出たとたんお腹が鳴ってしまったので、ホールの隣にある都ホテルに行ってみた。
コロナだし中途半端な時間だしで、ロビーラウンジしか開いてなかった。
ハーフサンドウィッチ+アイスティー
これでホテルのラウンジで1149円(980円+税・サービス料)だったら安いと思った。
すごくちゃんとしたサンドウィッチで端っこまで具が入っていたし、フルーツ付きだし。
食べ終わって外に出たら雨。
台風が近づいてる感じアリアリのふり方だったので、慌てて帰りました。
アルカイックホールは家から距離的には遠いのですが電車の乗り換えが簡単でとても行きやすいし、なによりとても素敵なホールだった(トイレ以外は)ので、また行きたいです。
次は、まずは天狼傳2020初日、そして双騎ライビュだな。
天狼傳のライビュも申し込まなくちゃ。
無事に開演されますように……。
天狼傳もまためちゃくちゃ楽しみです
双騎2020、共に出陣したアクセサリーたち