もう一つのやまの日祭り(蒼の隠れ家)5 | 蒼のエルフの庭

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蒼の方への愛を叫んでおります
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花火大会まで30分を切り

観覧席に戻ってきた社長たち

マスターと豆屋さんの横に座る

 

「お疲れさん

 王子たちは?」

 

豆屋さんが二人だけなのを見て

怪訝か顔をする

 

「彼らは特別席ですよ

 一番のスポンサーですから」

 

「ああ、確かに彼らは特別席だ

 良いのか?チビちゃんの席に行かなくても」

 

「二人と話してから

 席を移動します」

 

現代に居るさとちの話を聞きたい様子

それが分かって納得した顔で頷く

 

「今年のお祭りは

 花火大会と盆踊りだな

 やまの日踊りって言ってたけど

 縁日も開催してるから

 かなりの人出

 あの子は実行委員長だよ」

 

何も説明しなくても

豆屋さんには伝わってて

聞きたい話をしてくれる

 

「頑張ってるんだろうな ・・・」

 

全ての人を笑顔にするような笑みを浮かべ

何にでもチャレンジして

一生懸命なさとちの顔が浮かんだ

 

「うん、頑張ってたよ

 『社長たちも花火を見てるかな?』って言ってた

 だから、『必ず見てるはずだよ』って答えた

 この世界でも花火大会を開けるようになったな」

 

「マスター、伝えて貰えますか

 盛大な花火をあげることが出来たと

 その花火を見て沢山の笑顔の花が咲いたと」

 

「勿論伝えるよ

 きっとちびちゃんも喜ぶよ」

 

「いつか縁日を開けるように頑張ると」

 

「こっちのチビちゃんたちが

 実行委員長になって

 盛大なやまの日祭りを開いてくれるよ

 その時はまた来るから」

 

「ええ、毎年来てください

 あのシールドが外れる日が来るよう

 皆で頑張りますから」

 

副社長が決意に満ちた眼差しを

マスターに向ける

 

何年かかるか見当はつかないが

ここに居る全ての人の願いでもある

力を合わせて叶えるよう努力する

 

社長も副社長も同じ夢の持ち主

二人で顔を見合わせて頷きあう

 

「俺も手伝うからさ

 二人のマスターも手伝うよ」

 

豆屋さんが視線をずらすと

Masterがやって来てた

 

「お疲れ様」

 

Masterは食べ物を作ってて

ずっと奥に居た

 

「疲れた~ ・・・

 後は花火だな

 そうだ、隠れ家マスター

 カクテル作ってよ」

 

「良いよ」

 

気前良く返事をして

スッと席を立ちあがった

 

「後でいいよ

 花火の後!」

 

「そうだな」

 

ウェイター君に袖を引っ張られ

座り直した

 

「しゃちょ~ こんなところにいちゃ!

 いっしょにみるっちぇいったのに」

 

さとちが頬を膨らませながら

走って(飛んで)来た

 

「ごめんね マスターと話してた

 じゃあ、後で」

 

「ああ、後で」

 

豆屋さんたちに断りを入れて

さとち達の席に向かう二人

その時、さとちが真面目な顔をして

社長の顔を見た

 

「どうかした?」

 

「あのね ・・・ おいらね

 しゃちょうと でんしゃにのっちゃの

 どこにいっちゃのかは おぼえちゃないけど

 でも、なんかいもはなびみたよ~」

 

少しずつだけど

思い出してるようで

それを聞いただけで

涙が出るほど嬉しく思え

 

色々なことをしたし

色々なところにも行った

それら全てがさとちとの思い出

 

「いっぱい花火見たよ

 これからもっと花火を見ような」

 

「うん まずは

 きょうのはなび~」

 

嬉しそうに笑って

社長に抱きついた

 

遠くから見てたマスター

 

「この世界のちびちゃんも

 あの時代のチビちゃんも

 同じちびちゃんだ ・・・

 良かったな」

 

「ああ、思い出が一気に増えるな」

 

マスターと豆屋が笑みを浮かべた

 

「お前が鍵だったのかもよ」

 

さとちの記憶の鍵を開けたのは

マスターとウェイター君かも

 

「ここに来た意味だな

 さて、花火が上がる!

 ウェイター君 しっかり見ておくように!」

 

隣のウェイター君の背中を叩いて

マスターが嬉しそうに笑った

 

 

2XXX年やまの日祭り

花火大会 開催

 

一番大きな花火が空に上がり

大輪の花を咲かせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<おしまい>