流れ星に願いを 1 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
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(男性の方のご入室はお断りいたします)

O国に来て1年が過ぎようとしていた

無我夢中で走ってきたから

あっという間の一年だった

 

「Saoires カンパニー」は

 

数名の団員と共に

来春の旗揚げ公演を目指している

将来有望な団員はリフとオースティン

まだまだ舞台に立つには早すぎるかな ・・・

 

「leader 舞台に出てもらう人

 そろそろ決めてくれないと

 演目が決まらないよ」

 

今じゃカンパニーの主宰者よりも力があるサミーが

「いい加減に決めろ!」と言う視線を投げかけてくる

 

「う~ん ・・・ お前は誰が良いと思ってるの?」

 

「無門かな ・・・」

 

サミーのお気に入りは無門

昔からの付き合いで

何かと彼の名前が出てくる

実力は申し分ないが

野良君に一番近い所に居るのも彼

 

「無門は忙しいだろう

 スケジュールがびっしりって聞いたけど」

 

彼らは休暇になると

王子の所に遊びに来て

聞いてもいないのに野良君の近況を教えてくれる

 

friendshipに入社させたかったようだが

本人から断られたと

がっくり肩を落としていた

野良君が決めた就職先は

『森の小さな美術館』と聞き

正直、驚いてしまった

芸術的な感性が独特な彼に

その職業に向いてるのだろうか?

(野良君、ごめん)

それでも彼が自分で決めた道

遠くの空の下から

「おめでとう」の言葉を贈るよ

 

「確かにスケジュールはびっしりだけど

 来年の春なら何とかなるかもって」

 

かなり無理強いしてそうだな ・・・

 

「風ちゃんは?」

 

俺としては風ちゃんが一番気が合うから

 

「風ちゃんはスケジュールを空けてもらってる」

 

それはどういう意味?

もしかして二人を呼ぶつもりなの?

 

「なあ ・・・ まさかカンちゃんも一緒って言わないよな」

 

「カンちゃんも一緒だよ

 二人からはOK貰った」

 

あっさりと答えるから

唖然としてしまった

 

二人ともアメリカでの舞台が多く

結構、忙しいと聞いてるのに

弱小カンパニーの舞台に立つ?

 

「有名な二人に見合う出演料

 家じゃ出せないだろ?」

 

まだまだ歩き出したばかりで

潤沢な資金もない

(いくら王子が出資者だからって ・・・)

 

「ノーギャラで良いって ・・・」

 

「え? ・・・ サミーが頼み込んだの?

 ダメだよ、そこまで甘えたら」

 

サミーなら言いそうだ ・・・

 

「違うって!」

 

心外だって顔をして

俺を睨みつけた

 

「何が違うの?」

 

「二人から出して欲しいって依頼があったの

 だから、来春を目指してるって話したら

 空けておくって」

 

だから無門さんに拘ってるわけだ ・・・

 

俺一人ではどうにもならない訳で

助けてもらわないといけないのも分かるけど

おんぶにだっこじゃ申し訳ない 

 

「風ちゃんとカンちゃんに

 電話で話してみるよ

 話はそれからでもいい?」

 

「leaderが急がないなら

 公演が初夏になっても良いんだし」

 

「そうだな ・・・

 家の二人も何とかしないといけないしな」

 

「ああ、それは大丈夫だよ

 あの二人なら上手くなる」

 

サミーの太鼓判を貰ってる二人

今は原石だけど

磨けば輝くだろう

 

 

「じゃあ、今日はこれにて解散」

 

「了解!

 飲みに行く?」

 

にやりと笑って誘うけれど

サミーと飲むと長くなる ・・・

電話もしたいし

今日はパスだな

 

「今日は帰るよ

 ゆっくり休むのも仕事だからな」

 

「OK、んじゃまた明日!」

 

既に予定があるのだろう

満面の笑みを浮かべて

手を振りながら部屋を出て行った

 

 

一人で外に出ると

ヒンヤリとした風が頬にあたる

もう冬だな ・・・

O国の秋は短い

 

空を見上げると

流れ星が一つ

 

 

君が歩く道が平坦でありますように

 

 

小さく呟いてから歩きだす

 

 

 

 

<続きます>

 

 

 

 

 

<続きます>