Tell me why 16 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

零治さんと握手をした時

ドアがノックされて

鮫島館長とピ~ちゃんが入ってきた

俺達の姿を見た館長は

満面の笑みを浮かべて

 

「決まったようですね

 春の入社前までに

 色々な勉強をしていただきます

 よろしくお願いします」

 

勉強?そんな話は聞いていなかった

入社前から研修がある会社もあるけれど

内定が出てすぐなの?

余程困惑した顔をしてたのだろう

零治さんがくすくす笑って

 

「館長、気が早すぎますよ

 彼はまだ大学生ですよ」

 

諫めてくれたが

館長は全く意に介さない様子で

 

「何事も早いに越したことはないんだよ

 彼にとってはこの分野は未知の世界

 見聞を広めるための勉学に励んでもらわないとね」

 

やれやれって顔をした零治さんが

俺の隣まで来て

「館長の優しい物腰に騙されるんだよ

 見ての通りスパルタなんだ」

小さい声で教えてくれた

 

確かに物腰が柔らかい

優しい紳士だと思い込んでた

どんな分野でもトップに立つ人は威厳がある

学生の甘えは通らないと

改めて釘を刺されたのだと思う

 

「館長、春からお世話になります

 僕に足らない分野とは何か

 ご教授ください

 在学中に出来る勉強は

 全てやりたいと思います」

 

「その心意気で取り組んでください

 何をするのかは零治に指導させます

 零治もそのつもりで」

 

「承知しました」

 

館長の厳しい言葉の中には

零治さんの成長を促す意図もあった

彼もまた階段を一段上がらなければいけないようだ

 

「それでは特別な絵がある部屋に

 参りましょう」

 

館長の言葉を受けた零治さんの表情が

緊張したように見えた

 

その絵は零治さんにとって

特別な絵なんだと

 

そんな重要な絵を俺たちが見ても良いのだろうか?

 

「あの ・・・ 僕たちがご一緒しても

 宜しいのでしょうか?」

 

場にそぐわない気がして

辞退する言葉を発してた

 

大野画伯が彼らの子どもたちに

贈った絵のような気がしたからだ

 

「大丈夫です

 新たな世界の扉を開ける

 貴方達に見せることは

 描いた人も喜んでくれると思います

 その絵の次の所有者も

 それを望んでいます」

 

次の絵の所有者 ・・・

つまり零治さんだ ・・・

 

「それではご一緒させてください」

 

もしかしたらピ~ちゃんは

育英会からの支援で留学するのかも ・・・

その手続きをしたのが零治さん

 

「ありがとうございます

 同席できたことを嬉しく思います」

 

ピ~ちゃん、かなり嬉しいのか

目がウルウルしてる

 

「では、参りましょう」

 

館長に案内され向かった先は

貴賓室のような部屋

 

「どうぞ、お入りください」

 

館長が扉を開け

零治さん、俺、ピ~ちゃんの順に部屋に入った

 

何も置いていない部屋の真ん中に

イーゼルがあり

布が掛かった絵が載っていた

 

 

館長がドアを閉めて

イーゼルの傍に

 

「この絵は鮫島家の子どもたちに

 代々受け継がれる絵です

 将来の事を考えた時見せるようにと

 私の祖父の代から受け継がれております

 曽祖父の想いを受け取って欲しいと思います

 どうぞゆっくりとご鑑賞ください」

 

大野画伯が子どもである零治君に贈った絵

その絵を見て彼も将来の夢を決めたんだ

 

大野画伯の想いを受け継いだ子ども達

俺もその一員になれた気がして嬉しくなった

 

 

彼にも見てもらいたかったな ・・・

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>