Tell me why 9 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

お店を出て商店街を少し歩いて

交差点を渡ったら ・・・俺の家の近くの商店街 

慌てて振り向くと

さっき歩いてきた商店街はどこにもなく

最寄りの駅が目に入ってきた

まるで狐につままれたような感覚

 

「起きたまま夢を見てた?

 ウェイター君と会ったのもここじゃないし ・・・」

 

思わず声に出してた

 

時計を見ると

ウェイター君と会ってから3時間は経ってる

 

そうだあの店で貰った名刺!

思い出して携帯のカバーを開くと

頂いた名刺がちゃんとケースの内側に納まってた

 

「夢じゃなかったって事だ ・・・」

 

でも、この名刺の森の美術館って

本当に実在するんだろうか?

あのお店が異世界なら

美術館も異世界?

有ったとしても行くかどうかわからないし

 

名刺をもとの場所に戻して

そのまま家に帰った

 

 

その日以降、

『全ては君が決めること』

無門さんが言った通り

friendshipからの連絡は来なくなった

 

無門さんのお祖父さんに会うことも

森の美術館に行くこともなく

就職試験の最終面接に臨んだ

長続きしないと言われたけど

内々定は頂いた

正式な内定通知は10月になるらしい

 

もう少し他の会社もと考え

就活は続けている

 

 

長い雨の季節が終わろうとしてるか

久々に青い空が見えた日

すっかり陽射しが夏のものに変わり

青々とした木々からは

力強い木漏れ日が漏れてくる

暑くなりそう ・・・

額の汗をぬぐいながら校門に向かった

 

「野良君、元気だった?」

 

不意に肩を叩かれて

振り向くと笑顔のピ~ちゃん

 

「久しぶりだね

 元気だった?」

 

「俺が聞いたんだけど(笑)」

 

彼が苦笑いを浮かべる

 

「見ての通りだよ」

 

笑顔で答えると

 

「元気そうでよかった ・・・

 そうだ、就活順調みたいだね

 内々定が出たって聞いたけど」

 

横に並んで歩き始める

 

「何で知ってるの?

 ゼミの奴にしか言ってないのに」

 

「そのゼミの人が

 俺の友だちの兄ちゃんで

 兄弟で交流があるから

 たまたま、野良君の話になったんだ」

 

「へ~ 世間って狭いな ・・・」

 

「広いようで狭いね(笑)

 今日は午前だけ?」

 

「ああ、ちょっと用があっただけで

 このまま帰るよ」

 

何故か目を輝かせた彼は

 

「じゃあ、ちょっと付き合ってよ

 連れて行きたいところがあるんだ」

 

いきなり誘われてしまった

 

「今から?」

 

別に予定はないし

付き合っても良いけど・・・

 

「うん、今から!

 見せたい絵があるんだ

 俺は大事なことを決めるときは

 その絵を見て決める

 なんかさ ・・・ ずっと野良君 ・・・

 迷ってるみたいだから

 それと、俺は来週、日本を離れる」

 

留学前にランチをって話してたけど

失念してた

 

「そっか、もうドイツに行くんだ

 ごめん 約束守れなくて」

 

「今から守ってよ

 そこでランチを食べても良いだろ」

 

「そうだな

 じゃあ、付き合うよ」

 

「車で来てるから

 まずは駐車場まで」

 

「車で来てるの?」

 

確か大学近くのアパートに住んでるって聞いてたのに

実家がお金持ちかな?

 

「そんな驚かなくても

 アパートを引き払ったから

 実家から通ってて

 俺の実家、少し郊外に有るから(笑)

 今は母の車を借りて来てるの」

 

「そう言う事か ・・・」

 

「じゃあ、行きましょう!」

 

ピ~ちゃんは行き先を教えてくれなかった

 

絵を見せたい

美術館?

それともどこかの店に飾ってある絵かな ・・・

 

送別会の様なものだし

彼に任せようと思った

 

 

 

 

 

<続きます>