Tell me why 8 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

もう一度舞台に立ちたい

その想いだけで日本を出た

まさかの方法でのO国入国で

目ん玉飛び出すほど驚いたけれど

そのお陰で日本を出たと言う実感は

全く持てなかった

 

普通はフライトの時間で

寂しさが押し寄せてきたりするのだけど ・・・

『あっ!』と言う間に着いてしまったから

日本にいる感覚のままで生活を始めた

 

暫くは皇子の離宮に滞在し

カンパニー立ち上げの準備に専念した

 

スタッフ、スタジオが決まり

旗揚げをしたのは長い冬を終えた桜の季節

住まいも旧市街のアパートメントに引っ越しをした

 

カンパニー名

『Saoires カンパニー』

『Stray  cat  カンパニー』

どちらか迷ったけど

王子に何か言われそうだったので

『Saoires』に決めた

(野良ネコ君は常に自由だから同じだよな)

 

何度か君の話は聞いた

俺がいなくなって

そこら中を探し回っていると

「伝えなくていいの?

 可哀想だろ」と

その度に言われたけれど

まだ何もなしえていないのに

連絡などできない

「野良君は野良君の道を歩いていく

 だから伝える必要はない」

鸚鵡返しのように答えていたら

聞かれなくなった

今はカンパニーを軌道に乗せる

その為に全力を尽くしてる

それ以外は考えたくない

 

我儘だけど

それが俺だから ・・・

 

野良君、俺の事は薄情な奴だと切り捨てて

とことん嫌って欲しい ・・・

 

「leader 新しい部屋には慣れた?」

 

スタジオに顔を見せた王子は

笑みを浮かべて手を挙げる

 

カンパニーの主宰者だから

『leader』と呼ばれている

 

「歴史的建物に住めて嬉しいよ」

 

旧市街地には

沢山の中世の建造物が残ってて

今も現役で人が住んでる

(賃貸物件もあるから面白い)

 

「あそこは装飾も素晴らしいからな

 ただ ・・・ エレベーターがないのが難点だろ?」

 

右目をウインクして笑う

 

「3階だからそこまで大変じゃないよ

 練習がハードな時は泣きそうになる(笑)」

 

王子の離宮にも

侯爵の城にもエレベーターはないのだから

そう珍しい事ではないのに

 

「膝に負担になるなら

 エレベーターのある物件を探すよ」

 

急に心配そうな顔つきになるから

慌てて手をひらひらさせた

 

「そこまで大変じゃない

 大袈裟だよ」

 

「違和感があったら

 すぐに知らせて」

 

「分かってるよ」

 

身に染みてわかってる

無理をしたら故障する

二度とあんな思いはしたくないから ・・・

 

 

「ランチに行こうよ

 侯爵も来るから」

 

「OK スタッフに行ってくる」

 

春に団員を募集したが

直ぐに舞台に立てる実力を持ち合わせてる人はいなかった

ネームバリューのない俺のカンパニー

当然の結果だが

将来有望な数名が

練習生として所属することになった

 

出掛けることをサミーに伝え

そのまま王子と外に出る

 

「護衛とかつかないの?」

 

スタジオが王城から近いのもあって

いつも一人でふらりとやってくる

王子なのに護衛を見たことがない

 

「見えないところでついてるよ(笑)」

 

「そうなんだ

 てっきり、護衛をまいて

 来てるのかと思った」

 

「あはは ・・・ 

 やったことはある

 ただ ・・・ その後で知った

 どれだけの人に迷惑をかけたのか

 反省したんだよ」

 

「王子らしいな(笑)」

 

近くに有る老舗レストランに行くと

お店の前で侯爵が立っていた

 

 

 

 

 

 

<続きます>