Tell me why 6 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

ここは何処なんだろう?

どうやって来たのか思いだせない

彼が答えられなかった理由が分かった

 

「マスター遅くなってすみません!」

 

表情と言葉がここまで合わない人も珍しい

だって、そんな悪いと思ってなさそう

 

「はいはい、カンテラ灯してきて」

 

マスターも慣れたもので

怒った様子もなく

淡々と答えてる

 

「行く前に

 お客様で~す」

 

それだけ告げて

店の外に飛び出して行った

 

「こんばんは ・・・

 座ってもいいですか?」

 

声を掛けると

後ろを向いてたマスターがこっちを向いて

 

「いらっしゃい ・・・

 君は ・・・ 野良君だ」

 

間があったけど憶えててくれたみたいだ

 

「お久しぶりです」

 

「あの時は扱き使って申し訳なかったね

 今日は何でもご馳走するよ

 どうぞ座って」

 

柔らかい笑みを浮かべて

カウンターにおしぼりとコースターを置いた

 

「メニューあるけど

 好きな物、頼んでいいよ」

 

「メニューにない物もあるって事ですか?」

 

「うん、お客様のニーズに応えるよ」

 

え? ・・・ 例えば『ざるそば』って言ったら出てくるの?

意地悪なことを考えてしまう

 

「ざるそばも出来るよ」

 

にやりと笑った

 

この人、心を読める?

まさか ・・・ たまたまだよな ・・・

 

「強いカクテル下さい!」

 

色々考えたくないから

手っ取り早く酔いたい

 

「強いカクテル?

 野良君手お酒強かったっけ?」

 

いつの間にか戻ってきてたウェイター君が 

後ろから聞いてきた 

 

「人並に飲めますよ」

 

「マスターそれでお願いします

 つまみは何が良い?」

 

「なにが良いのかな ・・・」

 

「ナッツを出してあげて

 カクテル作ってから

 つまみを作るから」

 

「はい」

 

既にマスターの中でカクテルが決まった様子

何が出てくるのか ・・・

 

待ってるとお客様が一人入ってきた

どっかで会ったような

会ってないような ・・・

 

ウェイター君がすぐにそっちのお客様の応対をする

 

「彼奴は直ぐに忘れる

 エプロンすらつけてない」

 

困ったもんだって言いたげな表情で

苦笑いを浮かべながら

ミックスナッツが入った皿を置いた

 

ここは静かでいい 

誰も何も聞いてこない

数分後マスターがカクテルを俺の前に置いた

 

 

「ギムレットでございます

 君にとってはどっちなんだろうな ・・・」

 

マスターは俺の顔をじっと見つめて

 

「どっちもか ・・・ 厄介だな

 さて、タイのカルパッチョを出すよ

 待ってて」

 

それ以上何も言わずに

厨房に入って行った

 

「ギムレットですね ・・・

 そっか ・・・」

 

ウェイター君も意味を知ってるの?

 

「何がそうかなんですか?」

 

「そこまで強くないなって思って」

 

「アルコール度数の事?」

 

「ええ、強めって言ったから

 マティーニとかギブソンかなって

 勝手の想像してた(笑)」

 

そんな意味合いの「そっか」じゃなかったような ・・・

 

「野良君、あの人会ったことあるよね?」

 

ウェイター君が小声で聞いてきた

端正な顔立ちで ・・・

俺達より年上なのは分かるけど

誰だっけ?

 

「会ったような合わないような」

 

首を傾げてると

彼も同じように首を傾げた

 

きっと同じなんだな ・・

 

 

来る間にウェイター君が話してくれた

このお店に来れるのは一度だけ

(2度あればいい方だって)

つまり、お隣さんも初めてってことだ ・・・

 

「こら!邪魔してたら飲めないだろ」

 

初めてマスターがウェイター君を叱った

 

「すみません!

 マスター僕はギブソンがいいな」

 

「そんな高い度数のカクテルを

 お前には出さない

 それより着替えて来て!」

 

そう言われて

着替えてないことに気が付いた彼は

奥に入って行った

 

 

ギムレット ・・・ 二つの意味?

何かあるのか?

 

 

 

<続きます>