『妖精たちの音楽会』と銘打ったライブ
想定の遥か上を行く野外ステージと客席は
ほぼ満席の状態で
開演を待つお客さんの熱気は
夏フェスの様相を呈してた
オープニングは一番人気のフェアリーズ
愛らしい子ども達が歌い踊る
可愛らしいだけではなく
一端のアーテイスト並のパフォーマンスで
観客を沸かせてトップバッターの責を果たした
(俺はあの子たちの足元にも及ばない)
続く大ちゃん&蒼ちゃん
彼らのパフォーマンスは神がかってて
凄すぎて、ため息しか出なかった
5人の子どもたちのゴスペル調の曲は
天使の様な歌声とコーラスの皆さん
そして会場の声が一つとなり
飛び入り参加とは思えぬ盛り上がりを見せた
(5人とも歌もダンスも上手だった)
智’sの歌はメッセージ性が高く
それぞれ伝えたい人に向けて歌われたような気もした
まさか、その中に若ちゃんや大野画伯(父)がいるとは
会場の誰も気が付かないだろうな
そう言えばピ~ちゃん見に来てるかな?
大ちゃんの歌を聞いたら
感動しすぎて卒倒するんじゃないかな
後で若ちゃん達の事を言っても
多分信じないな ・・・
ここで少し休憩の時間に入った
「野良君、顔を見に行かなくていいの?」
客席に戻ってきた豆屋さんが
俺の隣に座った
「ええ、行かないです
ソラスの一フアンとして
ライブが始まるのを
ドキドキしながら待ちます」
心臓が口から出るんじゃないかと言うほど
胸の高鳴りはMax状態
期待が上限に達した状態だ
「その気持ちわかるよ
ここに来てる全ての人が
多分同じ想いをしてるな」
「そうですよね
3人は超有名人ですから」
「4人だよ
彼も超がつくほど有名だ」
彼って ・・・王子?
それとも兄さん?
この時、俺は失念してた
兄さんがプロのダンサーだったことを ・・・
(学祭のソロを見てきているのに)
会場内の照明が全て落とされ
ソラスのステージが始まった
何も考えられない
ステージに登場してきた彼に釘付け状態で
この時間が少しでも長く続くことを願いながら
5人の彼のパフォーマンスを見ていた
ずぶの素人の俺と
一緒に踊ってくれたことが
奇跡に思えてくる
そう ・・・ 豆屋さんが言った
彼もの彼は
紛れもなく兄さんだった
同じ実力のメンバーと踊ることで
彼本来の実力を思う存分発揮し
ステージ上で輝きを増していく
夢のような時間は
あっという間に過ぎ
気が付いたらラストの曲
彼の満足げな顔を見たとき
ステージが彼の居場所だと痛感した
大歓声と拍手で歌が終わったことに気が付き
初めて大声をあげて
「兄さん最高!
ソラス最高!
ありがとう!」
って叫んだ
「最高のステージだったな」
豆屋さんの言葉に
大きく頷いて
そのまま舞台裏に走った
<続きます>