I think I love you 71 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
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(男性の方のご入室はお断りいたします)

学祭の翌日、王子たちが帰国する際

俺も向こうに行くことになった

生活に必要なものは

全て用意してあるらしく

持って行く物は着るものくらい

鮫ちゃんの家に持って行ったら

王子が呆れた顔で

「いくらなんでも少なすぎないか?」って言うから

「O国は店もない田舎なの?」って反論したら

苦笑いを浮かべて

「そこまでの田舎ではないが

 物価は高いぞ」と忠告された

ヨーロッパで物価の安い国など思い浮かばない

何処も日本と同じくらいだったはず

それに、10代の半ばに向こうに渡ったから

極力、荷物は持たないようにしている

 

俺がO国に行くことは

何処にも漏れてはいない

(野良君でさえ知らない)

 

ただ、学祭でライブをやることは駄々洩れ

この大学にも関係者は沢山いるから仕方ないけど

厄介な奴らには会いたくない

 

今更、バレエ団に戻れと言われても

ちゃんちゃら可笑しくて ・・・

踊る場所が無くなっても

戻るつもりも、関わるつもりもない

どん底に居た俺を

お見舞いと言う名目で

様子を見にやってきて

優しい言葉と笑顔で切り捨てたこと

(再起不能だと判断したのはそっち)

絶対に忘れない

 

ライブまでの時間

何処で時間を潰すか思案してるとき

風ちゃんから電話があった

 

「野良君に言わずに行くなら

 最後の日くらい、彼に付き合ってやれ

 学祭が嫌なら、マルシェがあるだろ」

 

その提案に飛びついた

 

退屈だった俺の生活を

ここまで楽しくしてくれたのは彼なのだから

 

 

駅の改札で待っていたら

俺の顔を見て驚いた野良君

(聞かされてなかったようだ)

 

のんびり見て回ろうと思っていたら ・・・

そこら中が人で不足

 

「兄さん、どうします?」

 

「どうしますって ・・・

 どこを手伝いたい?」

 

「自慢じゃないですけど

 無茶苦茶、不器用なんです

 だから、飲食エリアは無理じゃないかと ・・・」

 

自分をよく理解してて

思わず笑ってしまったけど

そんな彼に調理の補佐を

頼む店はないと思う

 

「野良君に作れって言う店は皆無だと思うよ」

 

「マジですか?」

 

いやいや、お前に頼む店がある方が不思議だろ

何処にそんな自信が ・・・

 

「紅玉さんの綿あめなら ・・・

 声が掛かるかなって ・・・」

 

ん? ・・・ まさか ・・・

 

「お前がしたいの?」

 

紅玉は雑貨エリアのお店

最初から決めてたなら

そう言えばいいのに ・・・

 

でも、此奴に綿あめが出来るのか?

あれって意外に難しいけど ・・・

 

「王子に頼んでみたら

 手伝わせてくれるんじゃない?」

 

「兄さんはどうします?」

 

「そうだな ・・・ まずはパン屋に顔出してくるよ

 隣がカンちゃんの店だし ・・・

 二つとも相当忙しそうだから ・・・

 後、friendshipかな ・・・」

 

何故かジト目で恨めし気 ・・・

一緒に回るなら回るけど

手伝う気満々じゃん(笑)

 

「綿あめ作ってみたいの?」

 

誰でも子供の頃

やってみたいと思う

 

「まあ ・・・ やったことあります?」

 

「綿あめ作るおもちゃってあるじゃん

 それは、子どもの頃やったことある」

 

「あるんですか ・・・」

 

いや、そこ落ち込む所じゃねえだろ

 

「やらせてもらってこい! 

 後で一緒に回ろうな」

 

紅玉はスタッフが沢山いるから

少し手伝ったら解放してくれそうだ

 

「はい じゃあ紅玉で待ってますね」

 

「ああ、すぐに戻ってくるよ」

 

コロコロ変わる表情を眺めながら

色彩豊かな世界になったのは

野良君のお陰だと思った

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>