花の香りと共に 45(最終話) | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

さとちの提案を受け入れた二人

若主人は翔旦那がついて行きかねないから

翔旦那は泣きすぎて若主人に心配をかけるからと

お互いを気遣っての判断だ

 

「さとち殿、また来てくださいね」

 

「うん じぇったいにくるよ

 わかちゃんとじょうちゃんも

 あそびにきちぇね!」

 

そう簡単には会いに行けないし

会いに来れないけれど

可能性はゼロではない

 

「必ず会いに行くから

 待ってておくれよ」

 

上ちゃんが何度も頷きながら答える

 

「雑貨屋殿 豆屋殿のよろしくお伝えを」

 

「はい、伝えます」

 

若ちゃんに言われにっこり笑う雑貨屋

それを横目で見ながら苦笑いの蒼灯

(全く気が付いてない様子)

 

「サク殿、迷いは消えたか?」

 

翁に聞かれ大きく頷き

 

「ええ、迷いはありません

 沢山学ぶことが出来ました」

 

「それは良かったな」

 

サクちゃんの中にある心の迷いを見抜いていた翁

安堵した表情を浮かべた

 

「依頼があった絵

 楽しみにしてておくれ」

 

「はい、楽しみにしています

 代金を払えないのが心苦しいですが」

 

「3人と過ごしたことで十分だ

 楽しい時はお金では買えぬからな」

 

「そうですね

 本当にありがとうございました」

 

「そろそろじゃな」

 

話し込めばこむほど

別れは辛くなる 

そう判断した翁が3人に目配せをする

 

瞳を潤ませたさとちが

笑顔を浮かべて頷く

サクちゃんがさとちを抱っこし

雑貨屋さんが隣に並ぶ

 

「さとし殿、また来てくださいよ」

 

「私も待ってますからね」

 

「チビちゃん、豆屋によろしく」

 

大旦那様、和也、蒼灯が声を掛けて見送る

 

 

ちぎれんばかりに手を振るさとち

 

「翔、もう泣いても良いぞ」

 

肩を震わせながら

泣くのを堪える翔旦那の背中に

手を置く若主人

 

「笑って見送るよ

 今度会うとき恥ずかしいだろ ・・・」

 

「見栄っ張りだねえ ・・・」

 

苦笑いを浮かべた若主人の頬にも涙が流れる

 

「あの子は神様の使いじゃ ・・・

 幸せを運んでくれる ・・・」

 

「その通りだな

 あの子は神様の使いだ ・・・」

 

翁の言葉に蒼灯が応える

 

「皆に笑顔を届けてくれますものね」

 

 

3人が石橋の前でこちらを向いて

さとちは大きく手を振り

二人がお辞儀をした

 

「チビちゃん、ちゃんと泣けたな ・・・ 」

 

「そうですね」

 

蒼灯の言葉を聞いて

上ちゃんの瞳から涙が溢れた

 

「智 ・・・ 又会えるよな?」

 

「ああ、また会えるよ

 ほら、手を振っておやり」

 

月見亭の庭から

そこにいる全員が手を振ると

石橋のあたりが眩く光り

その中に3人が吸い込まれるように入って行った

 

 

過ごした時間は消えずに

心の中に残る

またいつか ・・・

 

 

 

 

 

 

 

<おしまい>

 

 

短編にしようと思っていたお話が

45話まで来てしまいました💦

無事に着地出来てホッとしています

読んでくださり

ありがとうございました

若ちゃんと上ちゃんはじっとしていないので

また出てきてくれるかな?

 

 

 

明日からは兄さんと野良君のお話

がんばりま~す

 

 

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