花の香りと共に 43 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

若主人、翔旦那、さとち、翁と

布団を並べて寝ることに

すっかりお眠なさとちは

布団の中に入るや否や

直ぐに夢の国の住人になった

寝顔を眺める3人

 

「あっという間 ・・・・

 明日の朝、帰るんですね ・・・」

 

寂しそうに呟く翔旦那

 

「あっという間じゃな ・・・

 さとし殿が来ると

 若返った気がするんじゃ」

 

翁はさとちの髪をなでながら

笑みを浮かべる

 

「気ではなく

 若返ってるんだよ(笑)

 次に会う日まで

 達者でいないといけないだろ

 それにな、この子が分けてくれるんだ

 生きる活力を ・・・」

 

「そうかも知れぬな」

 

若ちゃんの言葉に二人が頷く

 

「翁 ・・・ この子は

 私たちには子も同然

 翁には孫ですよ」

 

「そこはひ孫だろ」

 

若ちゃんがくすくす笑う

 

「じゃあ、私たちには孫か?」

 

翔旦那が頓珍漢な返答をするから

若主人は苦笑い

 

「な訳ないだろ

 私たちが翁の孫なんだよ」

 

当たり前のことを言うなと言う顔をした

 

「こらこら、そこまで老いぼれじゃないぞ

 お主たちは儂の子どもで

 さとし殿は孫じゃよ」

 

これで丸く収まるだろうと

にやりと笑った

 

「翔、泣くんじゃないよ

 笑って送らないと ・・・

 さとし殿が泣いてしまうからな」

 

「分かってるよ ・・・

 泣かない様に善処する」

 

子を持てぬ二人にとって

さとちは癒しそのものだ

特に上ちゃんには

若主人に似ているさとちは

目の中に入れてもいたくないほど

可愛くてしょうがない

だからこそ、別れるのは寂しくて仕方ないのだ

 

「泣いても良いんじゃ ・・・

 笑って泣いて ・・・

 それを見せることも必要なんじゃ

 この子は智に似て我慢する子

 だから、我慢させてはいけない

 おいおい泣いてくれた方が

 子どもらしいじゃろ」

 

翁の言葉にハッとする若主人

泣き顔を見せたら

帰ることがいけないことだと

思ってしまわないかと

心配をしていた

それは大人の考えで

 

我慢して笑わなくても

べそをかきながら手を振ってくれた方が

子どもらしい

 

そこまで別れを惜しんでくれたなら

見送る方も、そして見送られる方も

幸せなのだと思う

 

「また、会えますかね ・・・」

 

翔旦那がぽつんと呟く ・・・

 

「この先会えなかったとしても ・・・

 さとち殿と過ごした時間は

 消えないんじゃねえか

 ずっと笑ってておくれと願えるだけ幸せだ」

 

この子と出会わなければ

経験できなかったことが沢山ある

子を持てぬ私たちが

親になれたのだ

 

「そうじゃな ・・・

 お前さんたち二人は

 この子から親の気持ちを教わったんじゃ

 それだけで十分じゃないか

 それに先の事は分からぬ

 会えると信じていた方が楽じゃ」

 

もう会えないかもしれないと

悲しむよりは

いつかは会えると信じた方が

待つ楽しみがある

 

「考え方の転換ですね」

 

「ああ、気が楽になる方を選べばいいんじゃ」

 

「流石爺さん

 良いこと言うねぇ ・・・」

 

「無駄に年は食ってないからな(笑)」

 

「ふふ ・・・ 夢を見せてもらったんだ ・・・

 翔、泣いていいぞ(笑)

 私もなくかもしれぬな」

 

「お前さんは気が付いていないようだが

 結構涙もろいぞ」

 

図星を指された若主人

肩を竦めて苦笑い

 

「さて、4人で遊ぶ夢でも見せてもらおう」

 

翁がそう言って布団の中に入った

 

「夢の中で遊んでもらいますよ」

 

「私も遊んでもらうよ」

 

 

3人が「おやすみ」と小さく呟いて

床に就いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>