意識が戻るとそこは病院のベットの上。
そばには俺の手を握り 涙目になってる女。
「よかった‥。
ちょっと先生呼んでくるね。」
ふと、ベットの横を見ると
1通の手紙が置いてあった。
手に取ると表には『ヤスへ』
裏には『渋谷』と書いてある。
組に入って3年。
初めて若頭の字を見たような気がするなぁと
そこにはなぜか冷静で穏やかな自分がいた。
『ヤスへ
無事に目を覚ましたら
その時からもう
お前は組の人間でもなんでもない。
自由の身や。
念のために言うとくけど
お前に助けてもうたからやない。
仲間に免じて自由にしたるんや。
横山や村上は俺への建前上、
仕方なく 見張っとったけど
ほんまはわざと逃げる隙を与えたって
白状しよった。
マルと大倉はお前と話ししたあと
いてもたってもおられへんようになって
亮に相談しに行ったそうや。
その亮はしばらくして俺のとこきよってな。
今後、必ず金になる商売やから
やってみて損はないゆうて
山ほどの企画 持ち込んできよったわ。
あいつ、何日も寝ずに
パソコンに へばりついて作ったらしい。
これと引き換えに
ヤスを見逃してやってほしいって
俺との取り引きを申し出よった。
みんな、お前を守る為に必死やったんや。
俺を敵に回したら どうなるかわからんのに。
それでもなんとかしたいと思たんや。
そんな仲間思いの 子分を持ってる俺は
幸せなんやなって
孤独やないんやなって
その事にお前が気づかせてくれた。
ありがとうな。
その女は俺が
無理矢理 引っ張ってきた女やけど
ほんまはこんなとこにおるような女ちゃう。
いつか、本気で好きな男ができたら
その時は離してやろうと思っとったんや。
ヤス‥、それがお前でよかった。
この世界には2度と戻ってくるなよ。
元気でな。
渋谷 」
俺の頬には いっぱいの涙が流れ落ちた。
脇腹の痛みよりも
みんなの優しさのほうが
ずっとずっと痛かった‥。
退院する日の朝。
世話になった先生や看護師さんに
お礼を言って病室をあとにした。
精算しようと会計へ行くと
『もう済まされてますけど‥』とのこと。
「若頭やな‥」
「うん‥。お礼言いに行く?」
「いや‥あの人、照れ屋やから‥」
ふたりでクスッと笑い合った。
外は快晴。
昔は無駄に晴れてることが イヤやったのに
今は清々しささえ感じる。
「さぁ、行こか。」
「どこに?」
「俺らが新しくスタートできる場所を
探しに‥」
そして いつかまた会いに行こう。
最高の男たちに‥。
Android携帯からの
感想はあとがきのコメ欄に
お願いします♡投稿