この感動を、あなたと分かち合いたい、ひろむです。

本当に良かった!
『ペンギン・ハイウェイ』を観てきたんですけどね。
ハルキストである以上に、モリミストである僕も大満足の出来でした(´ω`)
エンディングで「アオヤマ君!!」って思いました。
制作陣の森見作品に対する愛を、ひしひしと感じましたね。
『美女と竹林』を小道具で使うあたり、「わかってらっしゃる」と思いましたよ。

そしてラスト近くでヒロインの“歯科医院のお姉さん”が、主人公アオヤマ君を評して言った一言。
「君は見どころのある少年だからな」。
映画館を出てから気がついたんですけど、原作にそんなセリフはない!
【おっぱい好きの見どころのある少年】って、『恋文の技術』って別の作品で
主人公がバイトで家庭教師をしていた少年を評した言葉でした。
そんなところに入れ込めるくらい、森見作品を読み込んでいることに驚きました!
「あんまり感動したものだから」と、泣きながら制作陣と握手したい気分です。

『夜は短し歩けよ乙女』(以下:乙女)に続いて、来年の日本アカデミー賞も狙えますよ!
今年は細田守監督の『未来のミライ』もいるけど、実際「・・・」な出来だったので。
ほんと「細田監督、どうしたの!?」って思いましたよ。
『君の名は。』の影響が、それだけ大きかったのか・・・。
はじめて細田作品で「DVD買うのどうしようって」躊躇ったほどですもん。
むしろ細田作品として観たかった物を『ペンギン・ハイウェイ』で観た感じです。
やはりファンタジーでは森見登美彦氏に一日の長があるのか。
 
そして悔しい気持ちで一杯でもあります。
小説で泣かされ、映画でも泣かされるとは。
だって森見登美彦氏ですよ!
あの登美彦氏に泣かされるなんて!!
腐れ大学生物を得意としてる感動とは無縁みたいな作家なのに。
あまりにも予想外の展開に自分でも驚きました。
でも『ペンギン・ハイウェイ』は良いんですよ。
何回、最後のページを読み返して泣いたことか(´;ω;`)
映画化に対して期待以上に不安が大きかったんですけど、完全に杞憂でした。
 
それだけに「理解できない」って言ってた観客には『バーナード嬢、曰く』の神林ばりに
「原作読め!」って、キレようかと思いました。
「まずSFのなんたるかを学習してから出直してこい」と!
もっと言うなら『戦闘妖精・雪風』の惑星フェアリィを理解できるようになってから来いと!!
まぁ、『ペンギン・ハイウェイ』自体が、日本SF大賞を受賞していると言っても、
ファンタジーとSFが半々みたいな感じですからね。
蛇足ですが、『ペンギン・ハイウェイ』の前年の受賞作は、伊藤計劃『ハーモニー』。
落差w
 
そんなに言うならと、原作を手に取って欲しいかというと、そうでもない。
森見作品を何作か読んでいて、作風を理解している人なら、「是非に!」と勧めるんですよ。
ただ一作目としては、お薦めできない。
アオヤマ君は、異常に理屈っぽい典型的な森見キャラなんですよ。
ただ物語が・・・。
こういう話を書く人なんだ!って、思われてしまうと、他の作品との落差にがっかりされそうで。
その辺、ファンとしては複雑なんですよ。
なにしろ先述のように、パッとしない人達が、うごうごと右往左往する話が大半ですから。
できれば『四畳半神話大系』と『乙女』あたりから読んでから、手に取って欲しいなぁと。
『恋文の技術』も、できれば『乙女』の後の方がいいかな。
ちなみに『美女と竹林』も、同じようにお薦めしませんw
 
さて、ここからがタイトルにある「蒼井優じゃない問題」。
昨今の劇場アニメの例に漏れず、メインキャストの声優がプロじゃなくて、タレントなんですよ。
アニメ好きとしては、看過しがたい話です。
ほんと宮崎駿は、厄介な物を残していってくれたものだと思います。
『ペンギン・ハイウェイ』でいうと、アオヤマ君は良かったです。
だが、蒼井優。テメーはダメだ。
 
ヒロインの“お姉さん”役だったんですけどね。
実写版『ハチミツとクローバー』の、はぐちゃん以来のコレジャナイ感がありました。
いまだに、はぐちゃん役は宮崎あおいであると信じて疑うものではありません。
決して蒼井優が嫌いなわけじゃないんですよ。
むしろ宮崎あおいを凌ぐほどの、すごい女優だと思ってるんですよ。
ただ声優としては、どうなのかと。
声を聞いても、蒼井優しか出てこないんですよ。
芝居が下手とか、そういうんじゃないんですけど。
 
前に坂本真綾が言ってたことなんですけど、原作を読んでる人が十人いたら、
十人全員が同じキャラクターに別の声を当てるだろうから、
正解ってないと思うんですよ。
もちろん蒼井優の声で、これだ!って人もいると思うんですけど。
ただ僕の場合、蒼井優の姿から、近所にいる憧れのお姉さんが出てこない。
じゃあ他に誰なんだって言われると、適当な声優が出てこないんですよね。
アニメ好きだけど、あんまり詳しくないので(´ヘ`;)ハァ
 
アニメに限った話じゃないけど、役者とキャラクターがあってないってことあるじゃないですか。
『ハチクロ』のはぐちゃんなんて、その典型で原作と離れすぎ。
もっとも『ハチクロ』の件は、主要キャラが山田以外、全員ダメって話なんですけど。
そういえば『3月のライオン』の香子が、有村架純も合ってなかったなぁ。
印象が柔らかすぎて。
眼光の鋭さなら、土屋太鳳の方が良かったと思うけど、しっくりこない。
話を戻して、蒼井優だとカラーが強すぎて、キャラクターと噛み合わない。
なにをやっても蒼井優が透けて見えるのが、気になっちゃって。
 
もし“お姉さん”役が、他のちゃんとした声優だったら、文句なく最高だったのに、
ほんと惜しい!
主題歌が宇多田ヒカルだったのも、若干違和感があったんですけどね。
それは曲がどうこうじゃなくて、自分の中で森見登美彦氏という作家と、
宇多田ヒカルが、かけ離れすぎていることが原因だから、大した問題じゃありません。
 
もうソフト化したら買うの確定で、それを観て、また泣くんだろうけど、
この違和感だけは、きっと拭えないんだと思います。
アニメ映画はタレント使うって、誰得な流れやめて良いと思うんだけどな。