こんばんは~ヘチマです。
やっと今日からお盆休みに入りました。
なぜかそのうちの2日間は出社しなくちゃいけないんだけど、
まあ気分は休みモードです。心も晴れ晴れ。
ところで本日ついに手にいれましたよ、「小説b-Boy9月号」!
昨日発売だったんですけど、ちょっと会社の飲み会がありまして、
ゲットしそこねたんです。
しょうがない、これも付き合いだし…と参加したものの、
飲み会ではひとりやけ酒状態になってしまいました。
さてさて、恋い焦がれた桑原水菜先生のBL読み切り小説、
期待どおりの秀作でしたよ!
濃密な世界観、そして、たいへん漢な作品です。
『犠牲獣ー五番目の太陽ー』桑原水菜 小説b-Boy9月号 2008年 リブレ出版
時は古代マヤ文明期頃。
密林に覆われたムタル国では、12年に一度の大祭が行われていた。
祭りで最も盛り上がるのが、捕虜奴隷たちによる命をかけた球戯。
チーム対チームでゴム球を争う球戯で、負けたチームは全員打ち首。
勝ったチームは助かるが、そのうちの1人だけは、
国の繁栄のために神々にささげる王の心臓の代わりである
「聖なる心臓」に選ばれ、7日後に心臓をえぐりぬかれ、死ぬ。
チーム<蛇の組>のサク・トゥークは、
「聖なる心臓」に選ばれるのを狙っていた。
なぜなら、サクはムタル国の若き王バフラムによって滅ぼされた
イクナル国の王子で、バフラムをいつか殺してやると誓って、
これまで生きてきたのだった。
サクの活躍によってチームは勝利し、サクは「聖なる心臓」に選ばれる。
7日7晩、王と肉の交わりをかわす「移し身の儀」を行うことになり、
この機に乗じて、サクはバフラムを殺すつもりだった。
ここまででページ数はまだ4~5ページくらい。
なのに、世界観とか国の情勢とかいつの間にか頭に入ってる。
現代ものじゃない時って、入りこむまで時間かかるのに、
これはすっと入れた。もう一分の隙もなくって、読者を引き込む筆力は圧倒的。
この時点で切なくなりそう…と先は読めたんだけども。
1晩目、王の褥で儀が始まる。
隙をついてサクは毒針でバフラムを刺そうとする。
しかしバフラムに殺気をかぎとられ、あえなく失敗。
バフラムはサクをその場で殺さず、7日後の儀式の時に生贄台で、
「おまえの心臓は、私が優しくえぐりだしてやる」
こわひ…。
ところで初夜っていいですね。2人とも互いを探り合う感じが素敵。
バフラムも若いくせに、手だれの親父みたいなセリフを。
「探してやろう。さあ、どこだ。おまえの聖なる泉の入口は」
ぎょえ~!聖なる泉の入口って!!いやらし~。でも素晴らしい。
ほんと、たまりません!
水菜先生の書くエロシーンは、いっつも言葉に悶絶するんですよ。
ミラージュでも、幾度となく悶死しました。
短いエロシーン描写なのに、どんっとツボをつかれる。
短いのに、カッと萌えあがっちゃうんですよね。
作品自体しっかり練られた上で、
一文字一文字大切につむがれているのがわかります。
さて、サクは失敗しても、もちろん次の手に。
2晩目、泉の中に突き刺されたバフラムのモノを、
力をこめてひきちぎろうとしたり。
↑どうやらさんざん訓練したらしい。すごい。
いつ?どうやって?誰とさ!?なんだかサクの過去が思いやられる。
3晩目、口でバフラムのモノを噛み切ろうとしたり。
口に入れる前に察知したバフラムに阻まれちゃうんですけどね。
このあたりから2人はぽつりぽつりと話をしだす。
そしてサクはバフラムの悲しい過去を知ってしまう。
王子であったがゆえの苦悩。国を思う上での切ない行動。
バフラムの思いに共感していくサク。
いつしかサクはバフラムへの殺意が薄れていき、見つめるようになる。
バフラムもサクへ執着しはじめ、サクの瞳を覗き込んだり、
「…おまえは…神々のものだ。私のものではない。
わかっているさ…そんなこと」
と心が揺らぎはじめる。
そして6晩目。
もうお互いに熱い感情を持っているのに、
それをはっきりとは言葉にしない・できないのが切ない。
バフラムの言葉に泣けました。
「おまえは生贄。神々のもの。だが、この部屋にいる間は――私のものだ」
サクも、
『この一瞬が永遠になるといい。夜明けなど来なければいい。』
2人の狂おしい感情がひしひしと伝わってきます。
はっきりいって、エンディングは悲しい終わり方です。
でもこの終わりしかないっていうのがよくわかる。
それがまた寂しい。
7晩目、「聖なる心臓」を民に披露する巡行で、
サクはイクナルの生き残りに火打石ナイフを渡される。
その行動と引き換えに命を落としたイクナルの生き残りに、
サクは自分はイクナルの王子で、
バフラムを殺すことが生きる理由だったことを思い出す。
王の褥で最後の「移し身の儀」。
サクはナイフを振り下ろす!
…しかし刺せない。
そしてバフラムはサクの殺意に気づいていながらも、
何もしなかった。
「なぜ…とめなかった」と問うサクに、バフラムは、
「おまえを神々に渡すくらいなら――この場でおまえに討たれたほうがいい。
おまえを失いたくない」
バフラム~~!!!感動。
変な名前とか、読みにくい名前やなとか思って、ごめん!
いい男やな~、あんた!
しかも、サクを失うぐらいなら、自分が生贄になる、とまで言っちゃうんですよ!
「聖なる心臓」をささげないと国は滅びるのに、何よりもサクが大事。
L・O・V・E、サク!なんですよ、バフラムは。
そんなバフラムを、サクはたしなめ、
「俺はおまえの心臓になった、だから捧げてくれ」という。
「おまえが俺を神に捧げれば、俺は永遠に、おまえのものになれる」
王として国を守り、率いていく者としてバフラムの存在は必要。
サクは「聖なる心臓」として、バフラムとひとつになる道を選ぶ。
「…永遠などいらぬ…。王になど、ならなければよかった…ッ」
と泣くバフラムにシンクロ。サク~~~っ!!!
そして終幕。
「聖なる心臓」を神々に捧げるため、
バフラムの手が、静かに、供養のナイフを持ち上げた。
ここで完結。
最後、ナイフを「持ち上げた」と書かれているところに、また泣ける。
「振り下ろした」っていう命を奪う描写じゃなくて、
もしかして何かあるかも、と一縷の希望を残してくれてるのがうれしい。
読者として救われた感じ。
読後は寂寥感に襲われ、しばし心が無になりました。
奪う者と奪われる者。こういう愛の形、嫌いじゃない。でも悲しい。
最近ハッピーものばっか読んでたから、よけいに胸にくる。
深い、深い、静謐な余韻。
こういうストーリー展開はどっかで読んだことあるけど、
やっぱり書き手が違うとまったく違うもんですね。
そんでもって、読み切りなんかじゃもったいない!
きっといろんなエピソードがあったはずなのに、
だいぶ削ってる感じがする。2人に焦点が絞られてていいんだけども。
ちなみにバフラム視点から見た7日間のサイドストーリーが
「フェニックス」の鬼畜特集号に掲載されるって水菜先生のHPに
書いてありました。
今回はサク視点の部分が多かったので、バフラム視点はすごく楽しみ。
でも、この悲しさをまた味わうのか、と思うとちょっとしりごみ。
結局、気になるから、買うんだけど!9月20日発売です。
総括すると、『犠牲獣』はとってもいい作品です。
切ない、悲しいの嫌いな人にはきついと思うけど、
これを読むと、なんとなく大人の階段一歩のぼれる気がする。
タイトルの意味も読んだらわかります。
ミラージュとはまったく系統が違うけど、
水菜節がいきいきと光輝いていた。
でも、ちょっと某野球漫画読んで、心の安寧を取り戻してきます~。