こんばんは、ヘチマです。
まだまだ絶賛片付け中のヘチマ文庫で、
お久ぶりに再会を果たしたBL小説をご紹介します。
個人的には、ほのぼのBL小説1位、2位を争う名作!
穏やかで心温まる恋愛に飢えている方におすすめです。
『猫の遊ぶ庭』かわいゆみこ 心交社 1998年
※現在はかわい有美子として活動されています。
舞台は京都。
K大学大学院に進学したさわやか好青年の織田は、
仕送りを打ち切られ、吉田寮に入ることになった。
そこは、明治時代から残る遺物ともいえるオンボロ寮。
トイレ・キッチン共同、風呂なしと、
それまで住んでいた新築マンションとのあまりの違いに愕然とする織田。
中に住む住人達も超個性的で、毒ありまくり。でもなぜかにくめない面々。
ある時、銭湯で同じ寮に住む年上の院生、杜司(とうじ)に出会う。
白い肌に涼しげな美貌、魅入られそうな綺麗な瞳。
蒸留して作ったきれいな水だけを飲んで育ったような人だ…
と心惹かれた織田は、
唯一寮内でまともそうな杜司と親しくなろうと、部屋を訪れる。
この杜司が浮世離れしまくり。
ポイントを挙げてみますと、こんな感じかな。
●部屋がむちゃくちゃ汚い
●大学院の宇宙物理研究室で銀河形成を研究している
●独特のスローテンポでしゃべる
●寮の麻雀三天王からも恐れられている
●これまで人に興味をもったことも、恋をしたこともない
杜司の汚部屋を織田が片付けたことをきっかけに、
2人の仲は少しずつ近づいていく。
穏やかな日々を過ごすうち、徐々に距離をつめてくる織田に、
おぼこい杜司はどぎまぎ。
この日常の中での駆け引きのようなふれあいが
もどかしくて、妙に胸にくるんですわ。
そして祇園祭の宵山、酒を飲みながら織田は杜司をくどく。
翌朝、杜司と同じ布団で目覚めた半裸の織田は、
年上の愛しい人を手に入れた喜びにひたる。
しかし、実は織田は酔いつぶれて途中で寝てしまい、
杜司が織田の服を脱がしたのだった。
杜司の実家に泊まった際、
2人の間になにもなかったことを知った織田は茫然とする。
なぜ服を脱がせたのかと杜司に問うと、
「そうしたら…、君が僕との間に関係があったように思うだろう、
そう思ったから…」
ここ!めっちゃ切ないんですわ~。
杜司も織田に惹かれていたのに、
これまで恋愛をしたことがないから、自分の気持ちを自覚できず、
でも織田を離したくない、という思いからの不器用でかわいい行動なんですよ。
なのに織田はそれを理解できず、杜司と距離を置くようになっちゃうんです。
織田が部屋を訪れなくなり、会いたいという気持ちが募った杜司は、
ついに自分から織田のもとへ。
「好きなのに…、好きなのに…、
君が会いに来てくれないから…、会いに来てくれないから…」
杜司のつたない告白に、
大人びた顔をしながら、この人は驚くほど子供なのではないだろうか
と織田はやっと理解する。
「抱いてしまいますよ。
二度と逃げられないように、あなたを俺のものにしてしまいますよ」
と宣言し、織田は杜司を抱く。
この織田の力強いセリフ、最高ですな!
それまで杜司の気持ちをずっと優先してきたのに、
最後は男らしいところを見せてくれました。
なんとなく明治っぽい雰囲気のある作品で、
イラストは今市子というのがまたいいんですわ。
レトロな絵柄がマッチして、物語に深みを与えています。
1年に1回は読みたくなる、大好きな小説。
読んだ後は、ほんのり幸せな気分になること間違いなし!
ちなみに短編連作で続き「猫の遊ぶ庭~気まぐれ者達の楽園」
も出ています。こちらはカップルになった2人の
穏やかな甘い生活が描かれています。