札幌に行く、と決まった日に
さて、どこ行こう? と考えていろいろ探して
行きたい、と切に思った場所を歩いた。
今回の旅で、いちばん歩きたかった場所を歩けたから
あとの旅は付録のようなもの。
ここは思ったとおり、私にはとても感慨深くよかった。
2000年有珠山噴火でできた火口を間近に見ることができ、
地殻変動や噴石で被害を受けた建物など間近に見ることができる。
散策路は周回道路ではないため北入口から歩き途中で引き返し
南入口に回ってまた途中まで歩いた。
北入口には温泉施設だった建物がある。
道路が陥没して西新山沼となった。
沼が国道だったことのな残りの標識がそのまま
水の中に立っている。
国道はこの地点で噴火前には下り坂だった。
しかしご覧の通り、隆起して上り坂となり
上部だった場所に雨水が溜まり沼となった。
(河川の堰止めではない世界的に珍しい沼らしい)
朽ち果てた家。
写真で見るとハイキングコースにある東屋のように見えるけれど
普通の民家だ。
電柱も往時のままひっそりと沼の中に立っている。
案内板のある北入口から散策路に向かう。
まず、目に入るのは荒れ果てたこの建物。
中国語で案内が書かれていたので
この場所が噴火後の散策路になってから
ここに置かれた売店なのかと思う。
散策路が観光客で賑わっていた時代もあったのだろう。
それはそれで、やはり時代の名残。
往時にここにいた人々の残滓が心に痛い。
散策路の入口から国道を見る。
道路が波打っているのがわかる。
ゲートを入ってすぐに集落の廃墟がある。
持ち主が保護しているのだろう、真ん中の時計がやけに
新しい。
とても美しい建物だと思った。
誤解されるかもしれないけれど、荒れた後のこの建物が
とても美しいと思った。
建物の道路脇に、錆びた立て看板があった。
とうもろこし、と書いてあった。
茹でたり焼いたりしたトウモロコシを売っていたのだろうね。
この土地を去りがたく
かつ
この場所を暮らしの糧としたい人が残骸を集めて
飾ったのだろうか。
それとも、ここで生きていた者のいたことを
ただ単純に示したかったのだろうか。
おそらくはその両方で
そして
この散策路に多くの人が歩いていたときに
ここで商いをやっていたのだろう。
人がこの場所に来なくなったのは
散策するのに飽きたからなのか、それとも
コロナの影響なのか。
後者なのだとしたら、自然災害は仕方のないこととしても
人為的な災害は許しがたい。
集落を過ぎると隆起して割れたアスファルトが見える。
その側を整備された木道が通る。
夏に訪れたため
残念ながらアスファルト道路は途中で夏草に覆われて
見えなくなる。
展望台は綺麗に整備され公園になっている。
展望台から望める噴火口の側壁に
道路の縁石が残っている。
煙突の向こうに微かに噴煙が見える。
この山は生きている。
火口に残った土管。
置き去りにされた重機。
この物たちも、今や貴重な観光資源だけれど
夏の一番良い季節に
訪れる人の少なくなった今
残された物たちは何を思うのだろう。
この建物は往時は製菓工場だったらしい。
やがては朽ち果て風化していく運命。
けれども、残していてくれて良かった。
きっと、ここで働いていた人たちもそう思っているはず。
2000年になってから新しくできた火口は数カ所あるけれど
どれも夏草が生い茂り下まで見えない。
水が溜まっているらしいので見えなかったのは残念。
破壊された住宅。
破壊された道路を見て、北入口に戻り
南入口に車を走らせる前に
北入口駐車場脇にある道を通り、金比羅火口群有料駐車場に向かう。
水の溜まった火口をどうしても見たかった。
この駐車場というか展望台は
どうやら私有地らしく
砂利敷きで途中までの道路だって砂利道で
まったく整備されていないのに
ほんの10分車を止めて火口を眺めるだけなのに
1,000円も取りやがる。
阿漕な商売でっせ。
しかし、金比羅火口は小ぶりながら見事。
晴れていたら、もっともっと火口の水は綺麗だったかな。
有珠山は30数年に一度、噴火を繰り返している山で
こうした火口がたくさんある。
火山好きには堪らない魅力のある山だ。
さて、10分で1,000円の
(いや別に何分いたってかまわないんだけれど)
駐車場を出てからは、散策路の南入口へ車を走らせた。
無料の駐車場のすぐそばに散策路の入口がある。
室内はジャングルと化している。
たくさんの子供たちが遊んでいただろう園庭に
過ぎし日の記憶が刻まれていた。
生活道路だった証の道路標識。
どうぞいつまでもこのままで、ここに残っていて欲しいと願う。
私の故郷の宮城では
何もかもが撤去されてしまい
新しく構築されてしまったから、どこに行っても懐かしさはなくて
息衝きがあったことまで消し去られてしまったような気がして
だから、こういう場所には堪らなく惹かれるんだ。










































